アフリカ会議、人材育成の貢献アピールを
第7回アフリカ開発会議(TICAD)が28日~30日、横浜市で開催される。アフリカ54カ国のほか、世界の国と地域から各国の首脳やNPO関係者などが集まる。
世界最後の巨大市場
TICADは1993年に初めて開催され、3年ごとに開かれる日本政府主導の国際会議である。人口約12億人を抱えるアフリカは「ラストフロンティア」と呼ばれ、世界最後の巨大市場として注目されている。
アフリカは国により資源や経済成長率にもばらつきがある多様な大陸だが、アフリカが持つ市場ポテンシャルは国際社会にとって魅力的だ。21世紀の半ばにかけ、アフリカは成長の中心になるとされている。
安倍晋三首相は「経済、社会、平和と安定の3本柱を中心に活発な議論を行い、具体的な成果を出したい」と述べ、アフリカの成長を一層後押しする意気込みを示している。
近年、アフリカとの関係を深めようと、同様の会議を米国、中国、欧州などが実施している。10月にはロシアも南部のソチで「ロシア・アフリカサミット」を初めて開く。
ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、アフリカに対する米国の関与強化について「大国」競争であり、中国やロシアへの対抗策だと説明している。米国政府がアフリカを重視する背景には、アフリカにおける中国の影響力の急速な強まりがある。
一方、中国がアフリカへの巨額の経済援助で一部の国の財政悪化を招いていることは近年、しばしば指摘されてきた。インフラ開発の際に中国から過剰債務を受け、返済見通しが立たなくなる「債務のわな」の問題だ。TICADでは、中国の「借金漬け外交」との違いを強調すべきだ。
日本としては強みである高い技術、ビジネス倫理を掲げ、きめ細かい支援を通じて「質の高いインフラ」整備や人材育成での貢献を引き続きアピールすることが緊要である。
中国の習近平指導部は巨大経済圏構想「一帯一路」でアフリカに影響力を広げるだけでなく、軍事面でもアフリカとの関係を強化している。中国は先月、アフリカ諸国との安全保障分野での協力について話し合う「中国アフリカ平和安全フォーラム」を北京で開催した。
フォーラムには中国の軍関係者に加え、国防相や参謀総長15人を含むアフリカの50カ国、アフリカ連合(AU)の上級代表らが出席した。中国軍初の海外軍事基地は2017年、アフリカ北東部に位置するジブチに建設された。
冷戦下の東西対立終了後は先進国のアフリカに対する関心が低下した。歴史的な関係が希薄だった日本はむしろアフリカの重要性を認識し、アフリカの自主性尊重を前提に先駆的に行動してきた。その一つがTICADである。
誠実さを持って尽力を
日本は引き続き誠実さを持ってインパクトのある取り組みを打ち出せるよう尽力することを忘れてはならない。それがアフリカにおける日本の存在感を高めることになる。