日英2プラス2、協力拡大で「準同盟」構築を


 日英両政府は、河野太郎外相と小野寺五典防衛相、英国のジョンソン外相、ウィリアムソン国防相出席の下、ロンドンで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開催した。

ミサイルの共同研究も

 日英2プラス2は2016年1月以来3回目。陸上自衛隊と英陸軍が来年初めて日本で共同訓練を実施する行動計画を策定し、新型空対空ミサイルを共同で試作研究することを共同声明に明記するなど安全保障協力が拡大することになった。日本政府が米国以外の国とミサイルの共同研究をするのは、初めての試みとなる。

 共同声明では「自由で開かれたインド太平洋地域の維持」を共通の利益とし、英国による安全保障面での関与強化を歓迎するとした。来年には新造の英空母「クイーン・エリザベス」がアジア太平洋地域に展開する予定だ。英国は海洋安全保障について、歴史の中で役割を果たしてきた自負がある。

 8月に来日した英国のメイ首相は、首相就任後初のアジア訪問国に中国ではなく日本を選んだ。キャメロン前政権は経済を重視して中国との接近を図ったが、メイ政権は中国との距離感を保ち、アジアへの関与をうかがう姿勢を見せている。

 この時の日英首脳会談では、安全保障協力に関する共同宣言もまとめ、結束を確認。また、国家安全保障会議(NSC)特別会合にメイ首相を招いて「準同盟」をアピールした。NSCに外国首脳が出席するのは、オーストラリアのアボット首相(当時)以来2人目。日英の協力強化で覇権主義的な動きを強める中国に対処する必要がある。

 共同声明には「東・南シナ海の状況を引き続き懸念し、緊張を高めるいかなる一方的な行動にも強く反対」と明記。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に「最大限の圧力」をかけていくことも確認した。

 日英両政府は今年1月、自衛隊と英軍が燃料や輸送業務を提供し合えるようにする物品役務相互提供協定(ACSA)を締結。日英間の戦略的パートナーシップが一層強固なものとなった。日本は米国と1996年、豪州と2010年にACSAを結んでいる。

 昨年秋には英軍の主力戦闘機「タイフーン」が、三沢基地(青森県三沢市)とその周辺空域で航空自衛隊と共に空対空戦闘訓練などを実施した。空自が国内で米空軍以外と共同訓練を行うのは初めてだった。

 スコットランド北端にあるロジーマス基地に配備されているタイフーンは、ロシア空軍機に対するスクランブル(緊急発進)を日々行っており、同様にロシア機対処に当たる三沢基地所属機にとって極めて有意義な訓練だったと言えよう。こうした防衛協力を今後も着実に積み重ねる必要がある。

世界の安定に貢献を

 共同声明は、日英両国が欧州とアジアにおける「最も緊密な安全保障上のパートナー」と確認し、グローバルな協力関係を「次の段階へ引き上げる」と明記した。

 米国を共通の同盟国とする日英両国は、世界の安定と繁栄に積極的に貢献すべきだ。