米軍ヘリ窓落下、安保体制への信頼損なうな


 沖縄県宜野湾市で米軍ヘリコプターの窓が落下し、約50人の児童が体育の授業をしていた小学校の校庭を直撃した。

 幸い被害はなかったが、一歩間違えれば大変な事故になっていた。日米安保体制への信頼を大きく損なうものであり、言語道断だ。

普天間隣接の小学校に

 米海兵隊CH53E大型輸送ヘリの窓が落下したのは、米軍普天間飛行場に隣接する市立普天間第二小学校の校庭だ。操縦席左側の窓が枠ごと落ちたという。児童の1人が「手に何かが当たった」と訴えたが、外傷はなかった。

 子供たちの安全が守られるべき小学校で事故が発生したことは極めて遺憾だ。宜野湾市では先日も、保育園でCH53Eヘリの部品が発見され、落下が疑われている。

 県庁を訪れた太平洋基地司令官のポール・ロック准将は「県民に与えた不安に対し、心からおわびする」と陳謝。全ての同型機を普天間飛行場に帰還させ、飛行を見合わせて安全確認を行っていると説明した。事故原因の究明を急ぐとともに、小学校の児童の保護者から憤りの声が上がっていることを重く受け止める必要がある。

 沖縄では米軍機の事故が相次いでいる。昨年12月には普天間所属の新型輸送機MV22オスプレイが名護市沖で不時着して大破。今年10月には、やはり普天間所属のCH53が沖縄県東村の牧草地に不時着して炎上した事故があった。

 なぜトラブルが続出するのか。米軍に安全軽視の姿勢があるとすれば問題だ。

 菅義偉官房長官は、今回の事故について「あってはならないことだ」とした上で「米軍機の飛行は安全確保が大前提だ」と語った。政府は日米の友好関係維持のためにも、米軍に事故の再発防止を強く求め、県民の不安払拭(ふっしょく)に努力すべきである。

 普天間飛行場は宜野湾市の中央にあり、市地域のほぼ4分の1を占めている。住宅密集地に立地するため、「世界一危険な米軍基地」と言われる。事故が起きて市民に死傷者が出た場合、日米関係に及ぼす悪影響は計り知れないものがあろう。

 核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮や、強引な海洋進出を行う中国の脅威が高まる中、日米同盟の重要性は増している。それにもかかわらず米軍機の事故が繰り返されれば、米軍に対する沖縄県民の反発が強まり、中朝両国に付け入る隙を与えかねない。

 日米同盟は日本だけでなく、アジア太平洋地域の平和と繁栄のための「公共財」として機能している。特に、中国や朝鮮半島に近く、地政学的に重要な沖縄に駐留する米軍の役割は大きい。在沖米軍関係者は、そのことを改めて自覚してほしい。

辺野古移設への理解得よ

 それとともに、米軍の抑止力を損なわない範囲で沖縄の基地負担を軽減していくことも欠かせない。

 政府は普天間の危険性を除去するため、名護市辺野古への移設工事を進めている。辺野古移設への反対は根強いが、政府は丁寧な説明で県民の理解を得る必要がある。