LGBT法制化、家族崩壊に拍車を掛ける
ほとんど話題にならなかったが、先の衆院選で見過ごせない動きがあった。多くの政党が、いわゆるLGBT(性的少数者)支援を公約に掲げたことだ。
これを受け、活動団体は「人権擁護」を掲げて差別禁止の法整備を求める動きを活発化させることが予想される。しかし、性モラルを乱すだけでなく、伝統的な家族を崩壊させるもので極めて危険である。
衆院選で各党が支援公約
LGBTに関する公約を見ると、立憲民主党が「差別解消」を、日本共産党も「差別と偏見をなくし、権利を守る」を盛り込んだ。希望の党になると、さらに踏み込んで「差別禁止法」の制定を唱え、自民党も「性的指向・性自認」に対する理解増進法制定を目指すとした。まったく触れていないのは、日本維新の会と日本のこころだけだった。
社会の基礎単位を「個人」と考えるリベラル左派が「性の自己決定権」の延長線上にあるLGBT支援を公約に掲げることは予想できた。しかし、伝統的な家族を重視する保守陣営にあるはずの希望の党や自民党が趣旨に違いがあるとはいえ、ともに家族崩壊につながる恐れのある法整備を公約したのは軽率ではないか。票集めのパフォーマンスとも受け取れるが、選挙公約に載せた事実は重く、今後、活動団体からの実現要求が強まろう。
そうでなくても、2020年に東京五輪を控え、活動家らは差別禁止法制定を求める動きを見せている。国際オリンピック委員会は14年12月、五輪憲章に性的指向による差別禁止を盛り込んだからだ。
あらゆる人間に対する差別や人権侵害が許されないのは当然のことだ。しかし、差別禁止法の制定となると、社会混乱は必定である。なぜなら、性的少数者の概念が曖昧な上に、同性カップルの結婚ができないことも差別と捉えられ、同性婚の制度化、さらには男女の区別そのものやそれを背景とした制度・文化の否定につながるからだ。
自民党の理解増進法とて危険である。最近、性的少数者はLGBTQと呼ばれることが多くなっている。英語のQuestioning(探している)、あるいはQueer(奇妙な)の「Q」を加えたのだ。つまり、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)のいずれにも該当しなかったり、自分の性的指向や性自認がはっきりしなかったりする人を指している。同性愛がいいのであれば、複数恋愛はなぜ否定されるのかといった主張も出てこよう。
性的少数者の割合を推定するものとして、電通が15年に行った調査がある。これでは人口の7・6%となったが、その半分は「その他」だった。この中には、一般の理解を超えた性的指向を持つ人も含まれるから、性倫理の破壊は避けようがない。
学校教育への弊害を懸念
特に、心配なのは学校教育への弊害だ。差別禁止や理解増進と称して、過激な性教育が行われるのは間違いない。そうなると、同性間の性行動を受け入れることができない人に対する思想・表現の自由の侵害、そして家庭教育の否定につながるから、容認できないのである。