日米韓外相会談、対北抑止へ連携を復元せよ


 岸田文雄外相は米ニューヨークで、米国のケリー国務長官、韓国の尹炳世外相と3カ国外相会談を行った。北朝鮮が今月の朝鮮労働党創立70周年記念式典の前後に、事実上の長距離弾道ミサイルを発射する可能性を示唆する中、対北抑止へ連携を再確認したことを評価したい。

中国に傾斜する韓国

 会談で3外相は、北朝鮮が「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射した場合、これが「明白な国連安保理決議違反」に当たり、「国際社会の断固たる対応を招く」と警告した。北朝鮮が4回目の核実験を行う恐れがあることも指摘されている。日米韓の結束を示し、北朝鮮を牽制(けんせい)することは不可欠だ。

 3カ国による外相会談は昨年8月以来1年1カ月ぶりだが、もっと頻繁に行っていい。極端な恐怖政治が続き、依然として権力基盤が固まり切っていないと思われる金正恩政権は、国際社会で孤立を深め、外交で行き詰まっている。日米韓がどう動くかが北朝鮮の行方を左右すると言っても過言ではなかろう。

 問題は近年、韓国が中国に傾斜し過ぎではないかという危惧があることだ。先月も韓国の朴槿恵大統領が北京で行われた「抗日戦勝70周年記念式典」に出席し、軍事パレードまで観覧した。西側諸国には歴史認識を共有する中韓による「反日共闘」と映りかねない。

 朴大統領は韓半島統一に向け中国の理解と協力が欠かせないという理由から訪中に踏み切ったとみられている。だが、日米韓の連携にくさびを打とうとしている中国の巧妙な戦略に利用された感は否めない。

 今回の会談では、沖縄県・尖閣諸島をめぐる挑発行為と共に、同じ中国の海洋進出問題となっている南シナ海での岩礁埋め立てについても話し合われた。この問題は先の米中首脳会談で主要議題の一つだったが、中国の習近平国家主席は「正当な権利」と強弁した。こうした中国の高圧的な態度にどう向き合うのか。日米とは異なり、韓国は意思表示を保留している。

 言うまでもなく日米韓の連携には民主主義と市場経済という共通の価値観が土台にある。韓国は経済関係ばかりに気を取られ、中国の共産党一党独裁体制にあまりに無頓着ではないか。

 韓国のある元政府高官は日米韓の連携を「陣営論理」と批判的に表現し、「アジアに冷戦はない」と言い切った。こうした認識が政治指導者や知識層に広がっているとすれば心配だ。北東アジアの安全は中国による軍拡や海洋進出に脅かされつつある。北朝鮮と同様に日米同盟に挑戦的であるのが現実だ。

 今回の外相会談を契機に、日韓関係の悪化でぎくしゃくした日米韓連携の復元を図らなければならない。特に韓国の場合、こと地域安保に関しては米国とも中国とも「最高の状態」(尹外相)であることに安住して済む問題ではない。

拉致解決でも協力を

 3カ国は北朝鮮による日本人拉致問題で、解決に向けて緊密に協力することで一致した。何よりも人道上の問題であり、同じ拉致被害の痛みを抱える韓国としても、その解決は大きな意味を持つに違いない。

(10月1日付社説)