尖閣国有化3年、執拗な中国に粘り強い対応を
政府が沖縄県石垣市の尖閣諸島を国有化してから、今月で3年を迎えた。尖閣は日本固有の領土であるにもかかわらず、中国は一方的に領有権を主張し、中国公船が尖閣周辺で領海侵犯を執拗に繰り返している。
日本は抑止力の向上に努めるとともに、中国の領有権主張に対して粘り強く反論することが必要だ。
東シナ海で緊張高める
中国公船は今年に入ってから尖閣沖の日本領海に26回侵入した。国有化以降、領海侵入は急増したが、昨年以降は月2~3日で推移し、合計隻数も月10隻以下にとどまっている。こうした動きについて、2015年版防衛白書は「ルーティン化の傾向が見られており、運用要領などの基準が定まった可能性も考えられる」と指摘している。領海侵入が常態化すれば、日本人の関心が低下し警戒心が弱まる――これが中国の狙いだろう。
海上保安庁は今年度中に尖閣警備の専従態勢の運用を開始する。一方、中国は排水量1万㌧級の大型巡視船を尖閣周辺に投入し、圧力を強めることが予想されている。海保は海上自衛隊との連携を強化し、武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態を含め、備えを万全にすることが求められる。
尖閣は1895年、政府が清国の支配が及んでいないことを慎重に確認した上で日本の領土に編入した。多い時には200人以上の日本人が住み、羽毛の採取や鰹節の製造などを行っていた。中国が領有権を主張するようになったのは、国連機関が東シナ海に石油埋蔵の可能性があると指摘した後の1970年代からだ。
最近では清国が17世紀に作製した地図に、台湾はあるが、尖閣は含まれていないことが大学教授の調査で判明している。政府はすでに尖閣が日本領土であることを裏付ける多くの資料を公開しているが、さらに効果的な情報発信に努めてほしい。
ワシントンで行われた米中首脳会談では、南シナ海での中国の岩礁埋め立て問題が取り上げられたが、中国は東シナ海をめぐっても緊張を高めている。2013年11月には尖閣を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したほか、今年7月には日中中間線付近で両国間の合意に反してガス田開発用の施設を増設していることが分かった。この施設は軍事拠点化されることも懸念されている。
13年5月8日付の中国共産党機関紙「人民日報」は、論文「馬関条約と釣魚島問題を論ずる」の中で「歴史的な懸案で未解決の琉球問題を再び議論できる時が来た」と主張した。中国は尖閣だけでなく、沖縄全体を狙っていると見ていい。
乗じられてはならない
沖縄県の翁長雄志知事はジュネーブの国連人権理事会で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する発言を行った。これに対し、移設賛成派の名護市の女性が「沖縄が先住民の土地だと主張することで沖縄を独立に導こうとする人たち、それを支持する中国こそが地域の平和と安定を脅かし、人権への脅威だ」と述べた。中国に乗じられることがあってはならない。
(9月30日付社説)