16年米大統領選、各候補者の指導力見極めたい


 次の投票日は2016年11月8日。今から1年5カ月後だというのに、早くも米国は大統領選モードに入っている。

共和ブッシュ氏出馬表明

 父と兄が大統領経験者である共和党の有力候補、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が正式に出馬表明した。ブッシュ氏は「私には経済の立て直しができる。なぜなら過去にやったからだ」と、州知事時代に歳出削減等に取り組んだ実績を強調。「大統領としての目標」に年4%の経済成長と1900万人の雇用増を掲げた。

 一方、今年4月に出馬表明している民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は、ニューヨーク市のルーズベルト島で初めての大規模な決起集会を開催。「私はあなたたち普通の米国人のために機能する経済にする」と語って大統領選最大の争点とにらむ国内経済を前面に押し出し、中間層対策や教育、子育て支援など、今後の選挙戦で訴える政策を打ち出した。

 過去2回の大統領選は経済が専ら焦点となった。次もその重要性は当然であるが、優先課題として外交・安全保障を指摘する識者も多い。

 クリントン氏は、ロシア、北朝鮮、イランの3カ国を米国への脅威として名指しし、中国の台頭にも対処する必要があると指摘。過激派組織「イスラム国」などにも言及し、米国の安全を保つためであればあらゆることをやると強調した。

 一方ブッシュ氏は、オバマ政権の外交方針について、国務長官だったクリントン氏の名も挙げ、「おざなりな外交」と批判し、外交政策の不作為が「危機や暴力を解決できなかった」ために「平和の調停者として失敗している」と断じた。

 米国では大統領の3選が憲法で禁じられており、ホワイトハウスの主を2期務めた人に出馬の資格はない。現在2期目のオバマ大統領に代わる人物探しが行われる。

 すでに民主党からはクリントン氏をはじめ4人が立候補を表明している。共和党はブッシュ氏で11人目となり、さらに不動産王として知られる実業家ドナルド・トランプ氏が名乗りを上げた。両党とも今夏に向けて、立候補者はさらに増えるとみられている。

 本選に至る予備選の期間が長いことは、候補者にとっては政策を表明する場が増えるだけでなく、それだけ資金も集まり知名度も上がり、有利な状況をつくれる可能性がある。

 国民にとっては、立候補者がどんな人物かを見極め、国家のリーダーとしての力量を持っているのかをじっくり確かめることができる。大統領選はまさに草の根民主主義を育む絶好の機会とも言える。

国内外の期待は大きい

 この6年半、内政・外交あらゆる面で指導力の欠如したオバマ大統領が国内で与野党対立を激化させ、同時に世界の平和と安定を維持することができず、国際社会は群雄割拠のような状態に陥った。

 国の内外でリーダーシップを発揮できる大統領の誕生することが、米国人のみならず世界の常識ある人々の一致する願いである。

(6月20日付社説)