日米首脳会談、同盟のグローバル化を歓迎


 安倍晋三首相はオバマ米大統領との首脳会談に臨み、アジア太平洋地域のみならず世界の平和と安定に貢献するため、日米同盟を強化していくことを確認した。

 日米連携のグローバル化を目指すものとして評価される。

 ガイドラインを改定

 会談前日に行われた両国の外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)では「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)について18年ぶりの改定で合意。中国の台頭によって厳しさを増した安全保障環境に対応して、日本の集団的自衛権行使を前提に「切れ目のない日米共同の対応」を掲げた。

 具体的には米国を狙った弾道ミサイルを自衛隊が迎撃すると明記し、シーレーン(海上交通路)での停戦前の機雷掃海も打ち出した。また、沖縄県・尖閣諸島を念頭に島嶼(とうしょ)防衛での協力を明確にした。わが国の平和と繁栄を確かにするものとして全面的に支持する。

 オバマ政権はアジア太平洋重視のリバランス(再均衡)政策を表明しているが、一方で「米国はもやは世界の警察官ではない」と強調している。米国防費削減の流れに見られるように、国内政治優先の内向き志向は否定できない。

 そこでリバランス政策をより確実なものにする必要がある。そのためにはわが国が安全保障面でより大きな役割を担うことで、米国をアジア太平洋地域につなぎ止めておくことが欠かせない。

 新ガイドラインは、これまでの「日本周辺」などの地理的制約を撤廃し、世界規模で連携を強化した。わが国がグローバルな課題に対処し、米国との一段と高いレベルのパートナーシップを構築しようとするものとして評価される。

 これによって米国のリバランス政策と安倍政権が掲げる「積極的平和主義」がドッキングし、アジア地域および世界の平和と繁栄という目標に向かって緊密に連携する土台が築かれたと言えよう。

 戦後70年、日米両国は冷戦に打ち勝つとともに、2001年9月の米同時多発テロ以降の国際テロとの戦いでも協力した。さらに、世界金融危機後の国際金融構造の強化のために助け合った。11年3月の東日本大震災では、わが国は米国から多大の支援を受けた。北朝鮮の核・ミサイルの脅威や日本人拉致問題では共同で立ち向かった。

 日米同盟が不動であり続けるには、時代に即応して不断に中身を更新していく必要がある。今回の首脳会談は同盟が貴重な「世界的資産」であるとの認識を共有し、その強化に努めていくことを確認した点で極めて有意義であったと言えよう。

 日本は安保で役割拡大を

 そしてガイドライン改定は、日本にとっては中国の脅威に対する防衛政策の再構築や世界平和への貢献強化を意味する。一方、米国にとってはアジアに踏みとどまり、中国の危険な動きを封じるため影響力を最大化しようとする意思の表明である。だが米国の「アジア回帰」の大前提は、日本の安保面での積極的な役割拡大であることを忘れてはならない。

(4月30日付社説)