日米韓の連携で北朝鮮の挑発防げ


 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のゴートニー司令官が、北朝鮮はすでに核弾頭の小型化に成功し、米本土を射程圏とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する能力を備えているとの認識を示したことを契機に、周辺国の警戒感が高まっている。

 日本は米韓両国と連携し、この危険な武力挑発を阻止しなければならない。

 急がれる迎撃体制構築

 ゴートニー司令官は、北朝鮮が2012年の軍事パレードで初めてその存在を明らかにしたICBM級「KN08」に核弾頭の搭載を可能にしたと述べた。これを受け、菅義偉官房長官は記者会見で「重大な関心を持って情報収集や分析に努めていく」と発言し、韓国の韓民求国防相も国会での質疑で「小型化技術はかなり進んだだろう」と指摘した。

 今年初めに発刊された韓国の国防白書も「北の核兵器の小型化能力は相当な水準に達したとみられる」と記していた。今から9年前の06年に最初の核実験を実施し、その後も2度(09年・13年)にわたって行っていることがその根拠だ。加えて北朝鮮は衛星ロケット打ち上げと称した弾道ミサイル発射実験を重ねている。

 北朝鮮の思惑通りになるか否かは別とし、核弾頭搭載のミサイル攻撃が日に日に現実味を増していることだけは確かだ。

 近年、北朝鮮の最高指導者、金正恩第1書記は「核と経済の並進路線」を強調している。核開発は祖父の金日成主席、父の金正日総書記の「遺訓事業」であることを考え合わせると、北朝鮮が今後も核開発の道を突き進む可能性は極めて高いと覚悟しなければなるまい。

 国際社会が北朝鮮の核問題と向き合うようになって20年以上になるが、結果的に核開発を思いとどまらせることに失敗した。特に03年に始まった6カ国協議は北朝鮮に決定的な時間稼ぎを許したとの批判がある。猛省しなければならない点だ。

 焦点は、北朝鮮にいかに核開発を放棄させるかということから、すぐ目の前まで来ている可能性がある核小型化に備え、核弾頭を搭載した弾道ミサイルが飛んできた場合、これをいかに撃ち落とすかということに移りつつある。

 その意味でワシントンで開かれている日米韓3カ国の防衛局長級協議は、北朝鮮による核小型化の脅威にどう対処するのかを話し合う重要な場になる。日米が保有する迎撃用ミサイルの命中率はかなり高いと言われるが、「撃ち損じ」などの失敗に伴う被害は絶対許されない。3カ国が情報を共有し、常に「最悪の事態」に備える必要がある。

 日本との防衛協力にはまだ抵抗がある韓国も、対北朝鮮では日米韓の連携が重要であることに異論はないはずだ。韓国は、日米韓の連携にくさびを打とうとする中国への接近が、地域の安全保障を危うくしかねないという自覚を持つべきだ。

 韓国はサードの導入を

 韓国は、中国が反対している上層迎撃のサード(THAAD=終末高高度防衛)ミサイルの導入を躊躇(ちゅうちょ)せずしっかり進めてほしい。

(4月17日付社説)