訪日客過去最多、「観光立国」への歩みを着実に


 今年日本を訪れた外国人が1300万人を突破して過去最多となった。初めて1000万人を超えた昨年と比べても3割近くの大幅増加となる。

 政府は、東京五輪が開かれる2020年に2000万人達成を目指している。「観光立国」への歩みを着実に進めたい。

 地方への分散が課題

 国・地域別では、今年1~11月を見ると、トップの台湾が前年同期比27・0%増の261万7700人、2位の韓国は9・3%増の248万4400人。3位の中国は82・2%増の221万9300人と大きく増えた。フィリピンやベトナム、タイなど東南アジアも好調だった。

 訪日客が増えたのは、円安で日本への旅行が割安になったことや東南アジアの訪日ビザ緩和などによるものだ。久保成人観光庁長官は「東京五輪決定や富士山の世界遺産登録など日本が注目を集める出来事が続いていることも大きい」と指摘している。今年の羽田空港の利用者(国内、国際線合計)は、国際線発着枠を3月に5割拡大した影響もあり、初めて年7000万人を超えた。

 10月に訪日客が百貨店などで買い物をする際の免税対象を、酒類や化粧品を含め全ての商品に拡大したことも、中国や香港からの買い物客を呼び込んだ。中でも日本の化粧品は信頼感があるため人気で、観光庁によると昨年の訪日客の消費額は1兆4167億円と過去最高を記録した。今後は一層の伸びが期待できよう。

 だが、20年に2000万人を達成するには課題もある。その一つは、訪日客に地方への旅行をいかに促すかということだ。

 現在、訪日客に人気の旅行先は東京から富士山を経て京都、大阪に至る大都市中心の「ゴールデンルート」だ。6割以上がこのルートを選んでいるとみられるが、対象地域の宿泊施設は需給が逼迫している。大都市に大きく依存したままで2000万人を受け入れるのは難しいだろう。

 地方を訪れる訪日客が増えれば、観光や買い物を通じ地域経済が活性化し、安倍政権が進める「地方創生」にも結び付くはずだ。独自の魅力を伝える情報発信に工夫を凝らしたい。

 訪日客は日本人にとっては意外なところに興味を持つことが多い。よく知られているのが、大勢の人が歩く東京・JR渋谷駅前のスクランブル交差点。日本人には日常の風景だが、訪日客は人間観察の場として楽しんでいるようだ。はとバスは一部の外国人向けバスツアーに交差点見学を取り入れている。

 カプセルホテルも価格の安さに加え、宇宙船の中にいるような感覚が人気なのだという。こうした面の分析や研究も進めていけば、2000万人達成に寄与するのではないか。

 受け入れ体制整備を急げ

 訪日客の1300万人突破を受け、太田昭宏国土交通相は「日本が素晴らしい国だと(帰国後に)広めていただくことは外交面でも大きな意義がある」と強調した。

 日本の魅力を高めるには、Wi-Fiサービスや外国語表示の充実など訪日客の受け入れ体制整備を急ぐ必要がある。

(12月26日付社説)