熱中症予防 室内では湿度下げる対策を
四国の梅雨明けが発表され、全国で梅雨が終わって夏本番を迎えた日本列島は厳しい暑さに見舞われた。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、コロナと共に熱中症への対策も万全にしたい。
札幌で21年ぶりに猛暑日
きのうの日本列島は、太平洋高気圧に覆われて大半の地域で晴れ、35度以上の猛暑日になる所が多かった。札幌管区気象台では35・0度を観測し、2000年8月1日以来、約21年ぶりに猛暑日となった。
猛暑日地点数は全国観測点の1割を超える117地点に上って今夏最多。東京都など21都府県には、4月から全国での運用が始まった「熱中症警戒アラート」が発表された。アラートの対象地域では、屋外での運動を原則中止するとともに、なるべく外出を避けることなどが求められる。
猛暑は今後も続きそうだ。23日に開幕する東京五輪も、厳しい暑さとの戦いが予想される。特に梅雨が明けて蒸し暑くなった今のような時期は、熱中症に十分に警戒する必要がある。この時期は、身体が暑さに慣れていないため、上手に汗をかけず、放熱量が低くなって体温をうまく調節できないからだ。
たとえ気温がさほど高くなくても、湿度が高いと熱中症になりやすい。気温と湿度、放射熱を取り入れた暑さ指数(WBGT)では、湿度が最も重要な指数となっている。
湿度が20%変化すると、体感温度は約4度変わるという。室内ではエアコンを積極的に活用し、室温は28度、湿度は50~60%を維持したい。
このほか予防には、十分な睡眠や小まめな水分、塩分の補給を心掛けたい。アルコールは利尿作用があって体内の水分が失われるため、酒の飲み過ぎも熱中症の原因となる。
熱中症にかかるリスクが高いのは、高齢者や乳幼児、糖尿病、高血圧などの基礎疾患を持っている人だ。本人に自覚を促すだけでなく、特に高齢者や乳幼児の場合は周囲の人たちの目配りが欠かせない。
総務省消防庁は、全国で今月5~11日の1週間に2568人(速報値)が熱中症で救急搬送されたと発表した。これは昨年同時期の2・8倍で、半数以上が65歳以上の高齢者だった。
気象庁によると、きのうは岩手県奥州市と山梨県甲州市で37・3度、福島市と京都市で37・2度、栃木県佐野市と群馬県桐生市で37・1度を観測した。近年は地球温暖化の影響で、夏に最高気温が40度を超える日も珍しくなくなっている。かつての夏の暑さとは違うのだということを、特に高齢者には留意してほしい。
コロナ対策との両立を
現在は新型コロナ感染を防ぐため、マスクの着用が求められている。ただ、マスクをしていると体感温度の上昇などの負担が掛かる。
この時期は屋外で人と十分な距離(2㍍以上)が確保できる場合、熱中症予防のためにマスクを外したい。窓を開けて部屋を換気する場合は、エアコンの設定温度を下げることも求められる。新型コロナ対策との両立を工夫したい。