まん延防止措置 変異株の監視体制強化を


 新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」が明日から大阪、兵庫、宮城の3府県に初適用される。

 「第4波」の拡大を抑え込むためには、感染対策の徹底と変異株への監視体制強化が求められる。

 大阪など6市で1カ月間

 知事が指定する対象地域は大阪市、兵庫県神戸、西宮、尼崎、芦屋の4市、仙台市の計6市で、期間は5日から5月5日までの1カ月間。緊急事態宣言に準じた対応が可能となる。

 菅義偉首相は政府対策本部で「各地で発生する波を全国規模の大きな波にしないため、地域を絞った重点的措置を機動的、集中的に講じて封じ込める」と強調した。

 3府県の感染者急増については、第4波に入ったとの見方が強まっている。大阪府では昨日、新規感染者が過去最多の666人となった。

 まん延防止措置も飲食店対策がポイントとなる。午後9時までだった時短営業要請を午後8時までとし、協力金を売り上げ規模に合わせて日額4万円から10万円支給する。要請に従わない店には20万円以下の過料を科す。大阪府の吉村洋文知事は、大阪市内の飲食店に対し、マスクを着用しない客の入店拒否を求める考えだ。「昼カラオケ」によるクラスター(集団感染)も発生していることを踏まえ、飲食店内のカラオケ利用の自粛も求めている。

 大阪府、兵庫県での急激なリバウンドは、卒業や人事異動、行楽シーズンの到来など時期的なものと共に変異株の蔓延が大きな要因となっている。大阪府では陽性者の5割、兵庫県では7割が変異種の感染者だった。

 菅首相は変異株に対する監視体制の強化を表明し、田村憲久厚生労働相は検査数の目標を陽性となった検体の40%程度にまで引き上げると表明している。東京都など感染拡大の勢いの止まらない地域の検査数増加が急務だ。

 変異株の拡大に危機感を抱く西村康稔経済再生担当相は会見で「大阪との往来で変異株が東京で広がることに警戒を強めなければ」と述べている。大阪府や兵庫県での第4波とみられる感染拡大が首都圏に広がり、さらに全国的な規模とならないためには、これら地域との人的な往来を減らす必要がある。

 移動制限には法的にも限界があるが、政府は、これら地域との人的な往来、とくに不要不急の往来を極力自粛する必要性をもっと発信すべきである。国全体で危機感を共有することが重要だ。そうすれば仕事上の必要から往来する場合でも、緊張感をもって感染対策を講じるようになる。

 対策徹底で乗り越えたい

 菅首相は「感染対策に秘策はない」と明言し、「ワクチン接種が行き渡るまで飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保を粘り強く進めながら感染拡大を食い止める」と訴えた。

 政府分科会の尾身茂会長は「高齢者にワクチンが届く6月までが正念場だ」と強調している。新型コロナ収束に向け、感染対策を徹底することで危機的状況を乗り越えていきたい。