コロナ1億人、ワクチン接種進め対策徹底を
新型コロナウイルスの感染者が米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると世界で1億人を超えた。昨年11月に5000万人を超えてから2カ月半で倍増しており、広がりが確認されている感染力の強い変異種の影響も大きいとみられる。一層の感染対策の徹底とワクチン接種を迅速に進めることによって一刻も早く収束につなげることを期待したい。
米国など5カ国で半数超
感染者が多いのは、米国、インド、ブラジル、ロシア、英国で、この5カ国で世界の感染者の半数以上を占めている。都市封鎖など厳しい対策も取られてきたが、感染者が増加の一途をたどっていることに不安は拭えない。
変異種が確認された英国では今年に入り3回目の都市封鎖が行われているが、インペリアル・カレッジ・ロンドンは罹患率が1・58%と世界的流行(パンデミック)後の調査では最高になり、同国内での感染抑制の効果が得られていないという深刻な結果を発表した。変異種はわが国を含め60以上の国・地域で確認されており、全世界に蔓延(まんえん)していくことは避けられない状況だ。
このような中、曙光(しょこう)となるのはワクチンや治療薬の開発だ。海外では緊急使用許可を含め、米モデルナ、米ファイザー、独ビオンテック、英アストラゼネカ・オックスフォード大学、印バーラト・バイオテック、中国シノファーム、露ガマレヤ研究所などの製品が承認され、昨年12月からワクチン接種が開始されている。
各国各社が開発を急ぎ、通常は実用化まで5~10年かかるところをパンデミックの非常事態に対処した。治療薬も抗ウイルス薬「レムデシビル」「アビガン」、ステロイド薬「デキサメタゾン」、抗体医薬「トシリズマブ」などが用いられており、新型コロナ感染を克服する取り組みは全世界で進められている。
ワクチンをめぐっては供給不足や分配の不平等などの問題も起きている。世界保健機関(WHO)は、ワクチンを共同調達して公平に配分する国際枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」で、2月から接種20億回分のワクチンを同枠組み参加国190カ国に配分する計画だが、テドロス事務局長は先進国のワクチン先取りがワクチン価格上昇を招き、最貧国で極端に接種回数が少なくなっていることなどを批判した。
パンデミックの渦中にある国々は苦境に陥っており、解決策の一つであるワクチンをめぐって国益優先や外交利用など懸念される側面もある。一方、欧州では厳しい規制に不満がたまった人々が都市封鎖に対して激しい反対デモを起こし、暴動に至る事例も後を絶たない。ワクチンを公共財と捉え、感染対策を守る公共意識が試されているとも言えよう。
ウィズコロナのマナーを
新型コロナは100年前のスペイン風邪以来のパンデミックと言われる。当時の対策も今日と同様に手洗い、うがい、咳(せき)エチケット、人が集まる「密」の回避、罹患者の隔離などだ。ウィズコロナ時代のマナーとして心掛けたい。