日韓関係 文氏は改善に向け覚醒せよ


 今年こそは日韓関係を改善させることができるだろうか。新年からそんな思いを抱かざるを得ないのは、文在寅政権下の韓国で徴用工判決に伴う国際法違反の状態が続き、文政権が慰安婦合意の不履行などに対し国内事情を優先させて長い間正しく向き合ってこなかったからだ。文氏が政治的思惑を抜きに関係改善に踏み出さない限り、事態打開は望めない。

 非現実的な正恩氏訪日

 昨秋、菅義偉内閣が発足すると、韓国は朴智元国家情報院長が情報機関トップとしては異例にも公然と日本を訪問したのに続き、韓日議員連盟の会長で与党「共に民主党」の幹部である金振杓氏らが訪日した。今年の東京五輪・パラリンピックを関係改善の契機としたいと日本側に伝えてきた。

 新政権発足と平和の祭典である五輪を関係改善に向けた機運づくりにつなげようという姿勢は大いに歓迎したい。

 しかし一方で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の日本招請についても言及があった。2018年の韓国・平昌冬季五輪が米朝対話や南北対話の再開に決定的な役割を果たした。今度は東京五輪を日朝対話や南北対話につなげられないか、という思惑があるのだろう。

 拉致や核・ミサイル開発の問題が全く未解決である状況で、正恩氏の訪日がどれほど非現実的な発想なのかに思いが至らなかったはずはない。それでもこうした話を責任ある立場の政治家がしたのは残念だ。日本を舞台に南北関係を修復させようという姿勢からは、日韓関係改善の意志は読み取れない。

 最大の懸案である元徴用工問題では、韓国大法院(最高裁)から損害賠償を命じられた日本企業の韓国内資産が現金化される手続きが韓国各地の裁判所で進行中だ。文氏は司法への介入はできないという理由から現金化を黙認する姿勢で一貫してきたが、ここにきて韓国側から条件付きで現金化猶予も可能とする見解が出始めた。

 残り任期1年余りとなった文政権が、来年の大統領選での与党候補当選へ是が非でも南北関係を改善させようという局面を迎え、手のひらを返すように現金化猶予を持ち出してきたのではないか。日本としてはその真意を疑わざるを得ない。

 慰安婦問題では今月、元被害者とその遺族が日本政府を相手取って韓国で起こした裁判の一審判決が言い渡され、これが新たな火種になる恐れがある。

 ベルリンでは韓国系市民団体によって公共の場に慰安婦像が設置され、日本政府の撤去要請にもかかわらず、しばらくそのまま置かれる可能性が高い。

 慰安婦合意では「最終的かつ不可逆的解決」や「国連など国際社会で非難・批判は控える」ことが確認された。だが、これらを完全に無視した動きに文政権は対応していない。日本の韓国への見方が厳しくなることに文氏は無頓着だ。

 日本との対立は無益

 今年は米国の新政権発足で国際情勢の変化も予想される中、北東アジアの安全保障に脅威となる国々への警戒は不可欠だ。日本との不毛な対立は無益だ。文氏に覚醒を促したい。