中露機共同飛行 日米韓の再結束で極東を守れ


 中国とロシアの戦略爆撃機が共同して日本海と東シナ海上空を飛行し、航空自衛隊、韓国空軍のそれぞれが戦闘機を緊急発進させた。極東で中露の軍事的な結び付きが強まっており、日本、韓国はそれぞれの米国との同盟関係を要に再結束を図る必要がある。

 竹島めぐる対立煽る面も

 ウクライナ南部クリミア半島を併合したロシアと南シナ海、東シナ海で領有権を主張する中国は力による現状変更を正当化し、互いに容認し合っている。プーチン大統領は中国の香港に対する国家安全維持法施行にも即座に支持を表明した。

 国際法、自由や人権を犠牲にして地政学的国益を最優先する両国の覇権主義は、西の欧州諸国にとっても、東のアジア諸国にとっても脅威となっている。

 中国のH6、ロシアのTU95など爆撃機による共同飛行は、両国国防省によれば「合同監視活動」と称したパトロールだ。中露機の共同飛行は、昨年7月に「共同空中戦略巡航」と称して初めて行われており、今回で2回目となる。

 中国はロシア極東での陸上軍事演習「ボストーク」、バルト海とオホーツク海での海上共同演習、ミサイル防衛共同演習、対テロ共同演習などの実施により軍事的関係を深めている。空においても事実上の共同軍事演習を手掛け始めたと言えよう。

 また、自衛隊や在日米軍、韓国軍、在韓米軍などの動きをテストしている側面もあり、中露の共同行動は政治的圧力にもなっている。

 特に近年、文在寅韓国政権の北朝鮮寄りの政治的アプローチと反日政策の推進により日韓関係が厳しくなった。この間隙を突き、日韓で係争となっている島根県・竹島付近の海域上空を中露の爆撃機編隊が飛行することは、日韓の領空権をめぐる対立を煽(あお)ろうという思惑も垣間見られる。

 11月に北村滋国家安全保障局長、米国のオブライエン大統領補佐官(国家安保問題担当)、韓国の徐薫国家安保室長との間で安全保障に関する電話協議が行われ、日米韓3カ国の緊密な連携が確認された。中露の他に北朝鮮の核兵器開発問題、邦人拉致問題の解決に向けても協力関係が不可欠だ。

 日米韓の安保協力を象徴する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関しては昨年、韓国側が破棄する構えを見せたが、失効直前の昨年11月に破棄を凍結し、今年は韓国側に動きはなく延長されている。悪化した両国関係の修復に向けた静かな前進と肯定的に捉えたい。

 中国がインド太平洋での海洋進出を活発化させる中、欧米の主要国が海軍艦艇を派遣する方針だが、主要な拠点となるわが国での係留は朝鮮戦争当時の国連軍地位協定が根拠となっている。戦地で多くの血を流した韓国と後方支援を担った日本が極東で自由主義を守る拠点となったが、今日も意味は大きい。

 韓国は大局的結束を

 来年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国である英国のジョンソン首相は、韓国から文大統領を招待する方向だ。主要国と共に大局的結束を願いたい。