スーパー射殺25年 警察は犯人逮捕へ執念を


 東京都八王子市のスーパーで1995年7月、アルバイトの女子高校生ら3人が射殺された事件から25年が経過した。

 殺人罪などの公訴時効が撤廃され、事件の捜査は今も続いている。警察は執念を持って何としても犯人を逮捕すべきだ。

時効撤廃で捜査を継続

 95年7月30日夜、八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」の2階事務所で、いずれもアルバイトで高校2年の矢吹恵さんと前田寛美さん、パート店員の稲垣則子さんが頭を拳銃で撃たれ殺害された。

 金庫には弾痕があったが、中の現金約500万円は残されていたなど、現場状況からは犯人の不可解な行動が浮かび、犯人像も諸説分かれる。強盗目的か怨恨か。単独犯か複数犯か。わずか数分で至近距離から女性3人の頭を打ち抜く手口から、不良外国人や暴力団関係者説も浮上した。

 2013年11月には、実行犯を知る可能性があるカナダ在住の中国人の男を旅券法違反容疑で逮捕し、日本へ移送した。しかし、男は「何も知らない」と多くを語らないまま、裁判を終え出国した。また、かつて面倒を見ていた中国人の男から「『以前、八王子ででかいヤマ(事件)をやってしまった。未解決の強盗殺人だ』と打ち明けられた」と証言した暴力団関係者もいる。だが、残念ながら事件の全容解明には至っていない。

 警察の使命は社会正義を実現することだ。無辜(むこ)の市民を銃殺した凶悪犯を決して許すことはできない。必ず罪を償わせなければならない。

 事件の起きた1995年、社会はオウム真理教による一連の事件に揺れていた。警視庁捜査1課員の大半がオウム捜査に投入される中、スーパー射殺事件の初動捜査は不十分だったとも言われている。

 2010年には発生から15年を迎え、7月には時効が成立するところだった。しかし、時効撤廃を求める犯罪被害者遺族らの声を受け、同年4月に殺人など死刑に相当する凶悪事件の公訴時効を廃止する改正刑事訴訟法と改正刑法が施行された。

 改正法は施行時に時効が完成していない事件にも適用され、スーパー射殺事件の時効も撤廃された。犯人の「逃げ得」を許すことがあってはならず、当然の措置だったと言えよう。DNA鑑定の精度向上など科学的捜査手法の進歩も時効撤廃を後押しした。

 警視庁は犯人逮捕に向け、延べ約21万人の捜査員を投入してきた。これまでに警視庁に寄せられた情報は1500件を超え、捜査員は情報を一つずつ精査して確認しているほか、犯行に使用されたフィリピン製の拳銃の捜査などを進めている。

 事件発生から25年という長い歳月が経過したが、被害者遺族らの悲しみが消えることはない。地道な捜査を重ねて犯人逮捕につなげてほしい。

重要事件の早期解決を

 重要な未解決事件は他にも、1996年9月の上智大生殺害事件や2000年12月の世田谷一家殺害事件などがある。

 いずれも残忍極まりない事件であり、一刻も早い犯人逮捕が待たれる。