名誉と誇りを汚す韓国軍

 韓国が約束を守らず、嘘(うそ)八百を並べて事実を認めない国であるという認識が大方の日本国民に定着してしまったようだ。最近の世論調査でも「韓国との関係が改善しなくてもやむを得ない」と答えた者が7割を超えている。当然の結果であろう。それほどに韓国の暴戻(ぼうれい)ぶりは目に余るものがある。

 昨秋からの事例を挙げてみると、国際観艦式での海自旭日旗の不掲揚要求。日本の排他的経済水域内で韓国海洋警察が日本漁船に対して操業停止を命令。日韓合意に基づき設立された従軍慰安婦支援の「和解・癒やし財団」の解散方針の発表。

 そして韓国大法院(最高裁)が韓国人元徴用工への賠償を命じる判決に続き、あろうことか韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射する事件が起こったのだ。

 火器管制レーダーは艦砲の照準やミサイルの誘導に使用されるもので、このレーダー照射は武器使用に準ずる非常に危険な敵対行為である。日本政府は直ちに韓国政府に強く抗議し、原因究明と再発防止を求めたが、韓国側は火器管制レーダーの照射を否定した。

 防衛省が照射を受けた具体的な証拠として哨戒機が撮影した映像を公開すると、韓国国防省はこれに反論する動画を公開し、「自衛隊機が韓国駆逐艦に低空の威嚇飛行をした」として、逆に謝罪を要求してきたのには唖然(あぜん)としてしまった。

 防衛省が公開した映像には機長とクルーの沈着冷静な具体的やり取りや、飛行映像が記録され、自衛隊機の哨戒行動に問題がなかったことを客観的に示すものであった。

 それに対して韓国国防省の公開した動画は、まるでフィクション映画の宣伝映像みたいで、韓国側の主張を裏付ける具体的な証拠は何一つ示されず、嗤笑(ししょう)を買うようなものだった。他国のことながら、一国の国防を司る官衙(かんが)がこんな代物を公開して恥ずかしくはないのか。

 昔の話をしても詮無(せんな)いことであろうが、筆者が若い頃に接した韓国軍の将軍たちは、「猛虎師団」や「白馬師団」の小・中隊長としてベトナム戦争に出征し、凄惨を極めた戦闘を生き抜いた誇り高き軍人であった。また自衛隊幹部学校に留学中の韓国陸軍大学校の学生らともよく議論をしたものだが、彼らも青年将校として内心鬱勃(うつぼつ)たるものがあり、互いに共感を覚えるものがあったのだ。あの頃の名誉と誇りある韓国軍はどうなってしまったのだろうか。

 韓国側が事実と異なる主張を繰り返し、感情的に日本に対して「無礼だ」などと非難するようでは話にならない。防衛省は先月21日に「火器管制レーダー照射に関する最終見解」を発表した。「韓国側が事実とは全く異なる主張を繰り返していると結論付け、これ以上、実務者協議を継続しても真実の究明に至らないと考える」として韓国軍当局との協議を打ち切った。

 文在寅大統領が統帥する韓国軍はかつての友好国軍ではないのだ。あと3年半の任期、まともに相手にせず、事実を国際社会に訴え冷静に対応していくしかない。