総がかり行動の極左 左翼の主導権争い再燃も
勧誘で青年増える傾向
森友問題で佐川宣寿前国税庁長官の国会証人喚問が行われた27日、国会議員会館前の安倍内閣退陣を求める「総がかり行動」の昼の部では立憲民主党の松田功衆院議員、夜の部では同党の近藤昭一衆院議員が発言し、テレビなどの注目もあり運動は広がりを見せた。
総がかり行動では中核派と革マル派など極左過激派は排除されているとか、反安保法制デモのときのSEALsでも、中核派と革マル派が排除されていたと主張する人がいるかもしれない。しかし、同日の総がかり行動の集まりには、中核派と深い関係があるNAZEN(すべての原発をいますぐなくそう!全国会議)や革マルと関係があるJR総連、原発も基地もいらないアジア共同行動委員会(ブント・大衆運動主義系極左集団)、その他、新宿区労働組合センター、部落解放同盟、日の丸・君が代不当処分撤回を求める被処分者の会など極左色の強い団体も参加している。
これらの団体が極左団体のフロント団体となって中核派や革マル派の勧誘をしたり、あるいは、総がかり行動の主導権を共産党から奪おうと暴力事件を起こすかもしれない。戦後初期の学生運動はほぼ共産党系だけだったが、実力行使を主張する極左集団が台頭し、多くの学生自治会が極左の支配下になったこと、婦人民主クラブ内部で対立があり、共産党系の女性活動家が追い出され、極左系が支配権を確立したことを思い出す。
ここ最近、二つの事態が進行している。一つは、共産党が指導する青年組織・日本民主青年同盟(以下=民青)や中核派、革マル派などの青年の獲得。もう一つは、総がかり行動などの運動の広がり・共闘の発展である。今後、総がかり行動の中で、かつての内ゲバ殺人事件のように共産主義団体間での主導権争いが起き、暴力事件が起きるかもしれない。
6日~8日、民青の全国都道府県委員長会議が開催された。2月に2005年以来の多くの同盟員の拡大の到達がなされたと報告された。東京では大学入学試験会場前の署名活動などを通して100人以上の同盟員を迎え入れたと報告された。新歓はこれからが本番、入試時の何倍もの学生が民青に加盟すると予想される。その他、高校生、労組青年部などでの拡大も報告されている。また、中核派、革マル派などにも青年が増えている。
過去に共産党、中核派、革マル派は内ゲバ(凄惨(せいさん)な殺し合い)を行い、左翼各団体合わせた犠牲者は3ケタに上った。共産党員で、極左集団に襲撃され命を失った学生、早稲田大学の学生共産党員幹部で授業への出席を革マル派に実力阻止され、焼身自殺した学生などがいた。民青や共産党関係者などの犠牲者の正確な数は不明であるが、戦後から合計すると相当な数になろう。
暴力事件に至る恐れ
今後、憲法改正反対運動が盛んになると、共産主義者団体間の暴力事件も頻発する恐れがある。彼らは同じことに反対しながらも争う。テロ等準備罪成立時は、京都大学で中核派が一部の校舎をバリケード封鎖し、共産党系の人たちが封鎖解除を求めるなど激しく対立した。子供たち、青年を無意味な暴力事件の犠牲にしてはいけない。
昔、早稲田大学には、さまざまな共産主義団体が存在した。しかし、革マル派は、自分たち以外の極左団体を殺人にまで至るリンチ手段を含めて追い出した。大学を自分たちの天下にすることによって、政治に興味を持った新入生などをすべて獲得できるからである。左翼の暴力事件は意図的に行われることを忘れてはならない。