共産党の都議選議席増 政権入りなら日本の危機

左翼層に残った受け皿

 日本にかつてない危機が迫っている。共産党の政権参加という危機である。都議選で共産党が議席数を17から19に増加させた。事前の予想では、都民ファーストの会のブームもあって、共産党が議席数を1ケタに減らすというようなものもあったが、共産党は2人区である北多摩4区でも議席を獲得するなど存在感を見せつけた。

 今、共産党は都議選での「躍進」を宣伝し、安倍政権打倒、総選挙実施を求めて激しい運動を進めている。総選挙が実施されたら、共産党候補を多数含む野党統一候補が全国で多数勝利し、共産党が与党入りすることもあり得る。良識ある国民は、共産党批判を強めていかなければならない。

 今回、共産党は、東京都生活者ネットワークと新社会党と共闘した。もともと共産党は自主独立路線、生活者ネットワークは北朝鮮と、新社会党はかつてのソ連と友好的であったが、海外の共産党は中朝を除き衰え、党派争いがなくなった。また、共産党が北朝鮮系の朝鮮総連と関係修復を図る中で、共闘が可能になった。また、社民党には独自の候補者を擁立する力すらなくなった。その結果、共産党候補が、安倍政権批判の票、左翼票を独占し、議席を増やすことになった。また、党利党略から小沢一郎が率いる自由党が共産党を応援したのも議席増の原因となった。

 現在、日本各地で、共産党と弁護士会、連合傘下労組の個人などとの共闘が進んでいる。日本各地で弁護士会はテロ等準備罪(共謀罪)反対集会を開いているが、共産党も全面支援している。兵庫県神戸市では7月14日、労働法制に反対する弁護士有志の会の主催で労働法制に関する学習会が開催された。共産党を支持する弁護士も多数かかわっているこの集会では、兵庫連合顧問を務める丹治初彦弁護士があいさつし、みんなの力で現状を変えていこうなどと訴えた。

 7月30日に行われる横浜市長選挙では、共産党が、かつて、激しく敵対していた緑の党と共闘している。これは、かつて、緑の党の上部団体であったカンボジア共産党と共産党との間の敵対がなくなったことと関係している。

組織挙げ全国から派遣

 今回の都議選でも共産党は組織戦を展開した。山形県の共産党組織は杉並区を応援、富山県の共産党組織は北区を応援というように、それぞれの道府県が応援する東京都の自治体を、中央委員会で決定し、各地の道府県組織が多数のボランティアを担当の自治体に派遣した。7月23日号の徳島新報には、「徳島県党は、3月3日から長期オルグや、宣伝ボランティアの派遣、テレデータでの『声の全戸訪問』、それらをささえる募金など、『わがこと』として都議選をたたかいました。」とある。

 7月5日号の富山民報には、「富山市の党員は『コメ十キログラムを東京に届けて』とカンパを寄せるとともに」という記事がある。このような組織性は自民党や民進党にはないものである。

 また、共産党の場合、党幹部の転居などによる配置移動もある。どこどこの県で問題があった場合、党幹部をそこの県に転居させて、問題を解決するというようなものである。共産党の支部会議は、共産党中央委員会の声明や決定をみんなで読み合わせたりする時間が多い。そのような組織性が、今回、都民に全国の共産党関係者から投票依頼の電話がかかることとなった。

 都議選後、共産党の活動は各地で活発化している。日本は、共産党が政権入りするかもしれないというかつてない危機にある。日本共産党のイデオロギー政党としての本当の姿などを国民に広めていく必要がある。(敬称略)