第26回共産党大会決議案に対北・対中脅威の記述なし

1月15日から開催

 日本共産党は11月12日と13日に第9回中央委員会総会を開催した。その場で、来年1月15日から4日間の日程で開催される第26回党大会の決議案が採択された。今回、その決議案を分析する。

 決議案を分析しての大きな批判点は以下の通りである。

 1、中国、北朝鮮の脅威に関する記述がまったくない。

 2、尖閣諸島、竹島問題を日本の固有の領土と主張する記述が存在しない。

 3、大本営発表で、都合の悪い点は隠す。

 4、平和、平等などの語句ばかりで、日本の繁栄に関する記述がない。

 5、反日という語句が存在しない。

 6、IT推進とか国民のパソコン度を高めるという主張がまったくない。

 7、自由・民主主義の普遍的価値観の否定

 なお、日本共産党が社会主義、共産主義の日本をめざす党であり、綱領の基礎が科学的社会主義であり、古典の学習に取り組まなければならないことが明記されている。

 決議案には北朝鮮や中国の脅威に関する記述がまったくない。拉致問題についての言及すらない。北朝鮮には核問題が存在し、非核の朝鮮半島を作らなければならないなどと主張されているだけで、核やテポドンなどのミサイルが日本を標的にしていることについては論じない。

 中国の軍拡、日本の領土への頻発する侵犯に関してまったく言及がない。そもそも中国の大気汚染が日本に悪影響を及ぼしている件や中国国内の言論統制や人権・宗教弾圧についていっさい触れられていない。ただ、発達した経済を建設することを迫られた過程で市場経済を導入したために、国内外の資本が流入し、そこから汚職・腐敗・社会的格差、環境破壊など、さまざまな社会問題が広がってくると言及されているのみである。

 領土問題に関する記述では、中国などとの間に領土問題が存在するとあるだけで、尖閣諸島も竹島も北方領土も日本固有の領土で守らなければならないと主張していない。領土に付随する豊富な資源は無視されている。

 大本営発表であり、この間の都議選、参議院選挙での議席増が低投票率のために、組織票を持つ日本共産党に有利に働いたことが完全にふせられている。また、日本共産党中央委員会は、このままでは労働者の中での党組織が消滅してしまうと日ごろから危機感をあらわにしていたが、今回の大会決議案ではほとんど黙殺された。党員の士気をくじくという判断のためであろう。

 今回、平和、平等などの理念的な語句ばかり目立ち、日本を豊かな国にし、繁栄に導こうという姿勢がない。アベノミクスについても、一部の人が豊かになるのみと批判している。左翼の発想は、常に低所得者層に金銭を交付するというもので、日本を豊かにすることを通じてみんなが豊かになるという考え方がない。また、大会決議案では世界情勢の分析が多く、日本国民軽視と指摘されても仕方がない。

「反日」使用されず

 大会決議案には、反日という語句が一回もなく、中国や韓国の反日教育がまったく批判されていない。靖国神社を過去の軍国主義による侵略戦争を美化することを存在意義としている特殊な施設と規定し、首相、閣僚が参拝することをやめることを強く求めている。

 外国との平和友好のみ語られ、国際競争についての言及がない。国民が強く求めるIT推進、パソコン教育の強化がない。

 現代の世界においては、異なる価値観をもった体制や文明が、それを相互に尊重し、共存することがいよいよ大切な時代となっていると主張し、安倍首相の「自由と民主主義、市場経済といった普遍的価値に基づく外交」を有害と批判している。

 日本共産党は外国ではアメリカのみ批判し、自民党を徹底的に批判することによって党勢を伸ばそうとしているが、党大会決議案には問題点が多すぎる。衰退、そして組織的崩壊は必然である。