共産党のバブル議席 メーデーが示す組織衰退

統一選の気勢どこへ?

 この春の統一地方選挙で共産党の地方議員は122人増加した。共産党は、来年7月の参議院議員選挙で850万票、得票率15%以上を獲得するとし、早い時期に共産党が中心となる民主連合政府を実現させると気勢をあげている。

 しかし、今回、共産党が得た票は、共産党の政策を支持した票でないことは明白である。共産党の議席が増加したのは、一時的なものであり、共産党の崩壊は近いうちに必ず起きる。共産党は、安倍政権への激しい非難を繰り返している。安倍内閣の倒閣を訴えている。現状に不満を持つ人間の、反自民票を集めているにすぎないのである。

 共産党は、中国の軍拡について自国を防衛するためだと主張し、日米に対抗するための悪循環におちいっているという主張を繰り返している。しかし、中国が海洋の領土紛争で強引な手段を使用し、世界中から非難を浴びていることや、大幅な軍事支出の増加を続けていることは多くの人が認めているところである。

 メーデーの中央式典では、志位委員長が「戦争反対、安倍政権打倒」を声高に連呼して訴え、伊藤真弁護士が「安倍政権は戦争する国づくりを進めている」と講演したが、大きな拍手は起こらなかった。メーデーの会場には、「最低時給千五百円」ののぼり旗もあったが、現実離れした要求に盛り上がりはなかった。

 何よりも、共産党の組織後退はとどまるところを知らない。統一地方選挙の結果についての党声明でも、「今回のいっせい地方選挙を、前回時比で、党費納入党員数で95・0%、『しんぶん赤旗』日刊紙読者数で88・8%、日曜版読者数で86・4%でたたかいました」と述べられている。共産党は、時々行う党勢拡大運動などで数千人の党員を増やしたなどと発表しているが、党費納入党員数が減っているということは、幽霊党員が増えていると言うことであり、実質上の後退である。

 また、若者の参加だが、一昔前の日本民主青年同盟各組織の青い旗がズラリと並ぶ様子から一変した。5月1日に代々木公園で開催されたメーデー会場には数人で宣伝する若者憲法集会のメンバー以外に青年の姿はなく、日本政府が労働組合と認めていない「年金者労働組合」(退職者が各地域で結成している労働組合)ののぼり旗が目立った。

 全国大会の会場に日本共産党本部が指導する民青同盟の姿はなく、ようやくメーデー終了時に、数人がビラまきを始めたが、ビラの内容は活動を紹介するものではなく、メーデー参加者にカンパを訴えるコピー用紙に簡単な文章だけ書かれたビラであった。式典の終わりに首都圏青年ユニオンのメンバーが十数人会場に入ってきたが、半分近くは年配者など青年ではなかった。式典後のデモ行進は行われたが、会場でビールを飲む参加者も多かった。

空洞化が進む民青組織

 民青同盟公式ウェブサイトの、都道府県連絡先で、電話番号が掲載されているのは33組織のみ。住所は掲載されていないので、事務所を持っている組織がいくつあるのか疑わしい。しかも、33の電話番号のうち現在使われていないものが三つ、間違い電話が一つあった。ほとんどは、電話をかけても留守番電話だったり出なかったりする。留守番電話のメッセージからは専用電話にかかっているのか個人携帯にかかっているのかわからない。

 共産党の組織は弱っている。しかし、いくらこの間の共産党の議席増が一時的なものとはいえ、共産党が政権参加するような「民主連合政府」の発足を許すわけにはいかない。共産党に対する批判を強めていかなければならない。