障害者スポーツ、若年層カギ
モデル事業で機会創出
パラリンピックの東京開催で障害者スポーツに注目が集まるが、日ごろスポーツをする障害者の割合は健常者より大幅に低いのが実情だ。スポーツ庁は「障害者がスポーツに触れる機会が非常に少ないのではないか」として、環境を整備するプロジェクトを2018年度に開始。特に若年層の参加に力を入れ、障害の有無にかかわらず全ての人が体を動かす楽しさを体感できるようにしたい考えだ。
同庁が20年度に行った調査では、週に1回以上スポーツをすると答えた成人の割合は、健常者の59・9%に対し、障害者は24・9%。しない理由として「体力がない」(13・0%)、「金銭的負担」(10・7%)が多かった。
7~19歳でスポーツをしないと答えた障害者は、15年度の41・9%から20年度は49・4%に増加。成人は少しずつ減っているのに比べると対照的だ。同庁の担当者は理由は分析中としながらも「成人になってスポーツをするためにも、若いときから慣れ親しんでほしい」と話す。
プロジェクトは身近な場所でスポーツに親しむモデル事業のほか、金銭的負担を軽減するため、高額なスポーツ用の車いすや義足などを貸し出す拠点の整備にも乗り出している。モデル事業はこれまで49件実施。昨年末は青森、岩手、福島3県の特別支援学校の児童生徒38人がフライングディスク競技をオンラインで開催。思い思いに円盤を投げ合った。
用具の貸し出しでは、東京都内のNPO法人が同庁の支援を受け、貸したい施設と借りたい人を仲介するレンタルサイト「カリスポ」を開設。今年度同庁は、全国4地域のスポーツ施設への用具配備に乗り出す方針だ。
プロジェクトの予算額は18年度の約4800万円から21年度は約1億2000万円に増えており、同庁担当者は「気軽にスポーツを行えるように間口を広げていきたい」と意欲を語る。