多数の声無視し中国美化した日本共産党大会
党員数30万5000人
日本共産党全国大会が1月15日から4日間、伊豆で開催された。ちょうど4年前の前回の大会時から比べて、党員数が40万人から30万5000人、赤旗日刊紙比率が87・5%、赤旗日曜版比率が85%の中での大会であった。党員の5割が65歳以上となり高齢化も進行している。
今回初めて、「病気化」という語句も党員の全国大会に向けた文章の中で現れた。「地域支部の高齢化、病気化がすすんでいます。仙台東地区では60歳以上が70・2%です。当然この年代は病気になる人が多くなります。2010年代はこの年齢構成比はさらに高くなり、病気化も進みます。」ということである(出典「党大会決議案への感想・意見・提案第1分冊16ページ『世代継承のとりくみ』に関して阿部吉男宮城県」)。
党員の高齢化が加速度的に進み、職場からの支部の消滅が時間の問題となっている。そうなると、日本共産党は労働者の党ではなくなり、もはや労働者の天国をめざすマルクスの理論とは関係の薄いものとなる。
今回、党員の多数の声を無視して、中国共産党美化が行われた。日本共産党は、日本で一番民主主義的な政党を名乗り、すべての党員に大会決議案への討論参加の場を「保障」している。日本共産党がそのように主張する理由は、すべての党員が所属する支部総会で党大会決議案に関する意見を言うことができるからだというのだ。しかし、それが見せかけに過ぎないのは、日本共産党関係の新聞、雑誌に党員からの意見とそれに対する党の見解が一切掲載されず、党大会決議案が発表されてから1カ月半後、党大会まであと半月という昨年12月28日に「決議案への感想・意見・提案」集が発売になったことからも明らかだ。
掲載されている感想・意見・提案は全部で180本、そのうちもっと中国共産党を批判するべきというものは30本もある。軍拡、防空圏識別問題、人権弾圧、民族自決権、共産党独裁などを理由に中国共産党を社会主義と無縁の国と認めるべきなど厳しい意見もある。
しかし、日本共産党中央委員会は、多数の党員の声を無視し、全国大会で志位委員長の中央委員会報告でそれらの意見に少し言及しただけで、中国共産党美化を押し通した。
「中国やベトナムは、…、外国帝国主義による侵略戦争で国土が荒廃させられたところからの出発という問題があったし」とか「中国、ベトナム、キューバでは、政治体制の面で、事実上の一党制をとり、それぞれの憲法で『共産党の指導性』が明記されている。これは、それぞれの国で社会主義をめざす勢力が、革命戦争という議会的でない道を通って政権についたことと関連がある。」という決議案の文言を一切修正しなかった。
中国の脅威、軍拡、空母建造などに言及せず、北東アジアを平和地域にすればいいと主張し、尖閣諸島などの領土問題も日本が過去を真剣に反省すれば解決に向かうと主張し、中国共産党による自国民への人権弾圧、宗教弾圧、民族抑圧に関しては内政不干渉を主張している。これで日本の平和を守れるのだろうか。
士気は下がる一方
日本共産党は「躍進」に盛り上がっていると報道されているが、発端の都議会議員選挙、参議院議員選挙での議席増は、低投票率に負うところが大きい。低投票率では組織票を持つ政党が有利である。しかし、日本共産党本部は大本営発表を続け、真実を隠し続けている。青年組織の消滅に続き、労働者組織も消滅しようとしていて、深刻な事態であるのに、党員の士気が下がるのを恐れて口に出さない。職場で労働者が入党したという記事をことさら大きく掲載するだけである。
日本共産党中央は、赤旗に藤井裕久元財務相のインタビューを掲載するなど、柔軟路線をアピールしているが、藤井氏は消費税増税を推進した中心人物であるのに赤旗に積極的に紹介するのは本末転倒だなどと党員から激しい批判の声も上がっている。日本共産党中央が共同行動に走るあまり無原則な赤旗へのインタビューを続ければ、党員の混乱や離反を招くであろう。
日本共産党の消滅は時間の問題である。