平成で失われた「土着」の力
世日クラブ
文芸評論家 小川榮太郎氏が講演
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が22日、都内で開かれ、文芸評論家の小川榮太郎氏が「令和日本 日本の存続は可能なのか」と題して講演した。
小川氏は、「日本は平成の30年間を通じて、国を挙げて自国の強み、勝てる要素を失わせてきた」と指摘。「企業献金もよく集まり、地方の声が届きやすかった『土着政治』から新しい政治へと改革されてしまったが、この仕組みの時に日本は世界一の経済力だった」とした上で「霞が関が強くなり、今の若い保守派の政治家は良識や良心はあるが、金と力がなく陳情も届かない」と述べた。
また、経済的に勢いを増す中国については、「日本は『土着』を30年かけて壊してきたが、中国はあの頃の日本と同じ、地縁・血縁関係で勝っている」と分析。「世界どこでもそうだが、地縁・血縁を捨てて成功する国はない」と強調した。
さらに「保守の父と呼ばれているエドマンド・バークは文学者であり、保守と文学は切り離せない」としながら、「令和時代になって日本が本当に存続可能な国になっていくためには、政策もさることながら、一人ひとりの文学に対する熱意やネットワークの形成が不可欠だ」と訴えた。
講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は、「憲法論議をすると一部のマスコミが騒ぎ立てるが、日本の平和を考えた時、安全保障を中心に抑止力を強化することが一番大切。これで世界のバランスを保っている」と述べた。