特権化される「報道の自由」


世日クラブ

政治ジャーナリスト 安積明子氏が講演

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が13日、都内で開かれ、政治ジャーナリストの安積明子氏が「報道の自由とは何か~官房長官会見から見える政治報道」と題して講演した。

安積明子氏

世日クラブで講演する安積明子氏=13日、都内で

 安積氏は、首相官邸の会見で、東京新聞社会部記者の質問に対する菅義偉官房長官の対応が、「報道の自由を侵害している」などと批判されていることについて、「権力は正しくない、反権力=正義という先入観が影響している。しかし、反権力であれば正義というわけではない」と指摘。本来、報道の自由とは、憲法第21条「表現の自由」に根拠を置き、国民の知る権利に奉仕すべきものだが、「官邸批判の根拠とされている報道の自由は、国民の目線を超えて特権化されており、既存メディアのおごりを感じる」と述べた。

 安積氏は、新聞労連委員長の声明を契機に、短期間で多数の言論人や教授らが東京新聞記者を擁護する署名活動に参加したことで問題が大きくなったと指摘。「政権VS個人という単純な構図で官邸が悪いという極めて薄弱な根拠でしかなかったので、危機感を感じた」と述べた。

 また、東京新聞記者が「記者は国民の代表だ」と言って、上から目線で質問を続けていることに対して、「国民の代表と思うのは自由だが、それにふさわしい内容と品格を持つことが必要だ」と指摘した。

 講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は、「香港の逃亡犯条例が大きなデモになっているが、成立すると言論の自由がなくなる。日本が大変危険な状態にあると認識し、憲法改正を進め、国として抑止力を持たないといけない」と述べた。