「一国平和」は通用せず 山田寛氏

世日クラブ

元嘉悦大学教授の山田寛氏が講演

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が19日、都内で開催され、元読売新聞アメリカ総局長で元嘉悦大学教授の山田寛氏が「世界をゆさぶるテロ、難民・移民危機」をテーマに講演した。

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世日クラブで講演する元嘉悦大学教授の山田寛氏=19日、都内で

 山田氏は、2014年に世界全体でテロによる死者が00年比で約9倍、13年比で約1・5倍に急増したと指摘。最近のイスラム過激派について「西洋の教育が罪悪というだけでなく、イスラムの教えさえも、自分たちの考えに沿わないものは敵と考える」と説明した。

 イスラム過激派は国際的ネットワークを築き、勧誘や脅迫にソーシャルメディアを駆使している。少女を自爆テロに使うなど卑劣な手口でも知られる。

 このテロと戦う手段として山田氏は、空爆などの実力行使のほか、教育の重要性を強調した。特に、貧困層の子女が教育を受けられず、過激思想にたやすく染まってしまう現状に懸念を表明。国際社会が支援し、「子供の教育を通じ、過激派のプロパガンダに抵抗力を持つ人間を増やすことが大切だ」と訴えた。

一方で「日本にもテロリストが入って来る可能性がある」と警鐘を鳴らし、自前の情報収集能力を充実させる必要性を強調した。

また、難民問題について、「希望する難民を第三国定住として引き受けることも考慮すべきだ」と指摘し、「テロ問題でも難民問題でも『一国平和』は通用しない」として、国際的な連携強化を訴えた。

冒頭にあいさつした近藤会長は「朝鮮半島や中国の有事の際、難民が日本に押し寄せる可能性が大きい」と懸念を表明した。