沖縄で盛り上がらないラグビーW杯


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 初めての日本開催となるラグビー・ワールドカップ(W杯)のリーグ戦の最中だが、どうも沖縄県内では盛り上がりに欠ける。

 日本が逆転して快勝した開幕戦。そして、9月28日の優勝候補の一角、アイルランド戦では前回大会に続くジャイアントキリングだった。日本が2連勝で決勝トーナメント進出に向けて大きく前進した。

 W杯では数々のドラマが生まれている。東日本大震災で被害を受けた岩手県釜石市で行われたフィジーとウルグアイの試合だ。かつて、ラグビーが盛んだった同市での開催そのものが震災復興の象徴となった。この試合でウルグアイ選手をエスコートした少年が、同国歌を歌う姿は世界中のラグビーファンの心を動かした。

 「大会の参加国を、国歌を歌っておもてなししよう」というプロジェクト「スクラムユニゾン」が、全国各地に広まっている。W杯の公式ホームページには歌詞付きで曲が掲載されている。

 全国メディアは試合はもちろん、こうしたエピソードの数々を紹介しているが、沖縄にいるとそれがなかなか伝わってこない。

 その理由の一つとして、自国に対する誇り、日本人としてのアイデンティティーが薄いことを挙げる人もいる。

 沖縄の本土復帰をきっかけに、日教組による左翼思想の影響を受けた沖縄では、国旗国歌が正しく教えられてこなかった。今でも沖縄県民の中で国歌「君が代」を歌える人は少ない。地元紙のアンケート調査によると、日本人というよりも沖縄人にアイデンティティーを持つ沖縄県民の方が多い。

 なお、県内でW杯の地上波放映はたったの3試合だけだ。地上波中継がもっと多ければ、違った印象になったのかもしれない。

(T)