赤字でも映画祭はやる!
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
沖縄国際映画祭が4月18日から4日間の日程で開かれた。途中、雨天に見舞われながらも、期間中は約30万人とほぼ例年並みの来場者となった。今年で11年連続11回目の開催だ。
那覇市で開かれたオープニングセレモニーで、主催者を代表して吉本興業の大崎洋会長は、「沖縄の人たちと10年やってきた財産をもっと大事にして、沖縄全部をエンターテインメントと産業創出の島にしたい」と抱負を語った。
映画祭は、北谷町を主会場にスタートしたが、すぐに宜野湾市の沖縄コンベンションセンターに移るなど、最初の頃は試行錯誤の感があった。ここ数年は、那覇市を拠点に県内各地が会場となり、全県的なイベントに発展し、県内外に幅広く認識されている。
「映画祭」と銘打っていながら、映画以外のイベントが過半数を占めるようになり、4年前から正式名称の前段に「島ぜんぶでおーきな祭」が加わった。
映画祭の精神は地域を笑顔で盛り上げ、それを全国、アジア、そして世界に広げること。中でも、沖縄の全市町村が参加するCMコンペティションは、地域活性化につながる取り組みだ。今年は「未来へのこしたいもの」がテーマになった。
「持続可能な開発目標」(SDGs)の啓蒙(けいもう)も忘れない。「『笑顔』につなげる活動を通じて、より良い国際社会の実現に貢献・応援する」というコンセプトだ。こうした公的精神から、映画祭はどれだけ赤字になってもやめることができないという。
大崎氏は、「社長になった年に映画祭を始めた。僕も歳を取ったので、社長は任せることにしたが、映画祭の実行委員長は死ぬ前日までやる」と宣言。「ずっと赤字だったが11回を迎えた。100回まで続けてそれまで生きていたい」と話し、会場の雰囲気を和ませた。
(T)