観光税は「迎える心」でカバーを
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
観光目的税制度の導入を考える沖縄県の検討委員会は、税率を1人1泊2万円未満は200円、2万円以上は500円の二段階方式でまとめ、このほど県に提言した。税の名称は「宿泊税」または「観光目的税」となる見通し。
この委員会は、琉球大学国際地域創造学部の下地芳郎教授を委員長に、ホテル協会、レンタカー協会、自治体の役員などで構成される。
委員会では、課税額を「一律200円」か、「宿泊料金に応じた二段階の定額制」にするかが最大の争点となった。委員9人の採決の賛成多数で決まった。
課税対象はホテルや旅館の宿泊で、下宿営業は除外した。県内在住者や未成年者も対象となる。ただ、修学旅行に限っては、影響が大きいことを理由に、児童生徒や引率者、海外も含めて課税免除とした。
税収規模は年間約57億円と試算している。ホテルなどの徴収義務者に徴収額の2・5%ほどの報償金を支給する計画で、徴税に掛かるコスト約5億円を差し引くと、約52億円の予算確保が見込まれる。
県の機関である法定外目的税制度協議会が今後、導入の是非を判断して、県議会に条例案を提出する。
那覇空港第2滑走路が完成し、オリンピックが開催される2020年度内の導入を目指している。
那覇空港で何人かの観光客に聞くと、「200円を惜しんで沖縄観光を辞めることはない」(大阪府の女性)、「米軍基地を抱えてもらっている分、沖縄に少しでも寄与できれば何より」(神奈川県の男性)と、前向きな意見があった。
観光税の負担分は、観光客を温かく迎え入れる心でカバーしたいものだ。
(T)