路上寝の多さ 全国で断トツ


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県は全国で断トツ、路上寝が多い。県警によると、泥酔による路上寝の通報は2017年に7016件。前年度だけわずかに減少したが、増加傾向にあるという。1日に20件近い計算だ。

 最大の原因は飲酒習慣。沖縄では夜遅くに飲み会が始まることが多い。ビールにアルコール度数の強い泡盛が加わり、飲み過ぎて気を失ってしまった結果、起きるのが路上になるということだ。日差しが強く温暖な沖縄は、アスファルトは深夜でも熱が残っているから気持ちよく感じるのだろうか。

 翌朝まで寝ているため、子供たちが通学途中に出くわすケースは少なくない。路上寝をする大人の姿を見せるのは教育上、問題だとの声が強まっている。

 浦添市は早くから路上寝対策に取り組んできた。2014年12月、浦添署は、路上寝している人に「イエローカード」(警告書)を発行する取り組みを行った。どこでいつ頃寝ていたのかという情報とともに、インスタント写真を本人宛に送付。恥ずかしい姿をさらすことで再発防止を促した。

 特に交通量が少ないとはいえ、深夜では危険極まりない。「路上寝が交通事故を誘発する危険性がある」として、浦添市議会は、路上寝防止の対策と施策推進を県に求める決議案を今月4日、全会一致で可決した。

 その矢先の出来事だ。6日、沖縄本島東部うるま市の県道で、米国籍の男性が運転していた普通乗用車が、車道で横になっていた同市の男性をひき、死亡させる事故が起きた。事故直前には「男が路上寝していて危険」という通報があり、うるま署は路上寝の可能性が高いとみている。

 酒を飲む大人の意識改革が最も問われるところだろう。

(T)