新鮮味ない翁長知事の所信表明


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 翁長雄志知事が就任してから4年目の県政運営方針が発表された。しかし、従来と変わらず米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対が県政の最重要課題という認識だ。

 「基地問題については、県民の過重な基地負担の軽減を実現すべく、公約の実現に向けて取り組んでおり、特に、『辺野古に新基地は造らせない』ということを引き続き県政運営の柱に、全力で取り組んでまいります」

 沖縄県議会2月定例会が開会した14日、翁長知事がこう読み上げた。

 方針演説では基地問題が随所にちりばめられていた。

 昨年発生した米軍属による殺人事件、米軍機による不時着や部品落下が相次いだことにも触れ、「県民に大きな不安と衝撃を与えている」と指摘。それに対する「日米両政府の対応は県民の信頼を損ねるだけでなく、今後の日米安保体制にも影響を与える恐れがある」と懸念を示した。

 日米地位協定の抜本的な改定を持論とする翁長氏は、米国が他国と結んでいる地位協定を調査することで日米地位協定の問題点を明確化する考えを示した。

 また、「普天間飛行場の固定化は絶対に許されない」と強調し、「残り1年となった『5年以内の運用停止』を含めた危険性の除去を政府に強く求めていく」と決意を表した。ただ、5年以内の運用停止に向けて日米両政府と有効な交渉はほとんどしていない。

 それどころか、辺野古の埋め立て承認の是非をめぐって国を相手に訴訟を起こした結果、移設工事を遅らせ、結果的に運用停止を遅らせることになっている。

 就任1年目の県政方針と比べてみると変わり映えがなく、公約実現性についても疑問符を付ける県民が増えているようだ。

(T)