子連れで行く居酒屋


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 12月に入り、忘年会シーズンを迎えた。この時期、大人だけでなく子供までも忙しくなる。沖縄県教育庁が今年公表した県内の小学5年生と中学2年生およびその保護者を対象にした生活実態調査によると、親と一緒に居酒屋で食事をするという回答が小学生で7・7%、中学生で6・4%だった。

 また、那覇市PTA連合会の独自調査では、親と一緒に居酒屋に行ったことがある小中学生は約7割に達した。うち、居酒屋に午後10時以降までいる人は過半数で、約1割は深夜0時すぎまでいると回答している。

 沖縄では、「模合(もあい)」と呼ばれる金銭相互扶助の集まりや部活動の打ち上げ・打ち合わせの場として居酒屋がよく利用される。これらに子供たちが同伴するケースが多い。

 こうした実態は、離婚率の高さと無関係ではなさそうだ。沖縄県は離婚率が全国でワーストワンで、父子・母子家庭の割合も全国一高い。こうした事情から子連れで居酒屋に行くのもやむなしという風潮があるのは事実だ。

 現状を憂慮した那覇市PTA連合会は、「夜9時までには帰りましょう運動」を推進している。具体的には市内の全小中学校に対してチラシ配布、ポスター制作のほか、マスメディアを通じて呼び掛けをしている。

 沖縄県は、未成年者の飲酒補導と深夜徘徊(はいかい)は全国平均を大きく上回っている。その背景として大人の飲酒習慣が問題視されている。飲酒運転検挙率、人身事故件数に占める飲酒絡みの割合は全国でワーストワンという不名誉な記録を続けているが、子供たちは大人の飲酒習慣の犠牲者と言うことができよう。那覇市PTA連合会が目指しているのは「親の規範意識の向上」だ。(T)