米海兵隊員が富士山で人命救助


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 在沖米海兵隊の牧港補給地区(キャンプ・キンザー=沖縄県浦添市)に所属する5人の隊員が3日、富士登山中に気分を悪くした日本人女性を救助した。

 オットー・ティエレ伍長、クリストファー・エームス伍長、エリック・グッドマン伍長、アントニオ・マルティネス上等兵、アベラード・ゲバラ・オスーナ上等兵の5人は米国の独立記念日の休暇を利用して富士山を登っていた。

 5人は途中、助けを求めている女性の父親の姿を見つけると、間髪を入れずに応急措置をした。登山用の杖と着用していた衣服を使って即席の担架を作ったのだ。山道約3キロ、担架を運搬しながら下山し、医療関係者に引き渡した。当時、女性は高熱で体が震え、呼吸困難な状況に陥っていたという。

 「困っている人をそのまま放置することはしません。やるべきことをやっただけです」と彼らは振り返る。

 現場に居合わせた日本人男性は後日、彼女が回復したことを知らせると同時に、「隊員たちの優しさ、勇気、友情に感謝している」という女性のメッセージをSNSを通じて伝えた。

 5人の上司で第35戦闘兵站連隊司令のフォレスト・プール大佐は11日、5人の勇敢で自己犠牲的な行為を称(たた)えて表彰メダルを授与した。

 プール大佐は「海兵隊員が登山中に出くわした出来事は予期できないことだ。そこで5人が取った行為はすべての海兵隊員、海軍兵らに能力のあることを示してくれた」と誇った。

 在沖米軍人は過去数年の間、交通事故にあった男性を救助、レストランで食べ物をのどに詰まらせた女性を蘇生したりするなど、数多くの人道支援を通して「良き隣人」の見本を示している。

(T)