翁長氏、年頭から国と対決姿勢
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
「建白書の精神に基づき、辺野古に『新基地』は造らせないことを県政の柱にし、県が持つあらゆる手法を使って取り組む」
翁長雄志知事は4日、県職員向けの年頭訓示でこう強調した。知事に就任して折り返しを迎えた翁長氏は昨年、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設をめぐり、仲井真弘多前知事による埋め立て承認を取り消したことで国と訴訟し、最高裁判決で却下された。裁判では「判決には従う」と表明していたことから、一定の区切りが付いたかに思えた。それだけに、年頭でどのような発言をするか注目されていたが、国との全面対決の姿勢に変化はなかった。
「多くの問題を基地問題に費やした1年だった」と昨年を振り返った翁長氏は、辺野古移設阻止とともに、普天間飛行場の閉鎖撤去、オスプレイの配備撤回を公約として取り組む決意など、スピーチの約3分の1を基地問題に費やした。一方で、普天間飛行場の閉鎖撤去の方法、移設の代替案、そして、同飛行場の危険性除去の取り組み方については言及がなかった。
この日、那覇市の新年会などに顔を出した元那覇市長でもある翁長氏は、「那覇市政を担ってきたからこそ切磋琢磨(せっさたくま)して県政運営できる」と述べた。その上で、昨年、中国の副首相と会談し経済交流をしたことを誇らしげに語った。那覇市、経済・観光団体の新年会では基地問題の話題は封印した。
前知事が形を作って動き出している経済成長戦略の21世紀ビジョンのレールに乗って景気、雇用は順調だ。
政府に反旗を翻し、米軍基地を「経済発展の阻害要因」と言う翁長氏が、いかにして自立型経済を確立することができるか。リーダーシップが試される一年になる。(T)