「トランプ大統領」と翁長知事
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
米国の新大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任することが決まったことを受け、翁長雄志知事はトランプ氏に祝電を送った。
その中で「アメリカと沖縄との関係について話し合う機会をつくっていただき、双方にとって良い結果となるよう強力なリーダーシップを発揮することを期待する」と表明。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沖への移設方針を見直すことへの期待感をにじませた。
翁長氏は、移設断念を含めた米軍基地負担軽減などについて意見を交わしたい考えで、新政権発足後の来年2月にも米国を訪問する意向。
ただ、トランプ氏に面会を申し入れるよう指示した沖縄県のワシントン事務所の所長は適切な就労ビザなしに働いていたことが分かっている。さらに、翁長県政が発足して2年間、目立った成果がない。「情報が取れるかどうかは不明」というのが県職員の本音だ。
トランプ氏について、翁長氏は「硬直状態となるような政治はしないのではないか」と期待を示したが、自民党県連幹部は、「門前払いされるだけだ」と冷ややかな見方をする。
トランプ氏に淡い期待を寄せるのには理由がある。大統領選での「日本が米軍の駐留経費負担を大幅に増額しない場合は米軍を撤退させる」という発言に注目したからだ。知事を支える革新陣営は、米軍を撤退させるチャンス到来とばかりに、希望的観測をしている。逆に、保守系の人々からは、県民が平和ボケから目覚めるきっかけになると歓迎する向きも。
いずれにせよ、県民の間で安全保障の在り方を議論する機運が高まることに期待したい。(T)