残念な福祉団体訴訟判決


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 那覇市が福祉事業を委託した福祉団体に対し事業計画を大幅に超過した金額が支払われていた上、適切な手続きなしで事務所費用が免除されていた問題で、福岡高等裁判所那覇支部はこのほど、原告の主張を棄却した。

 事業を委託された団体は、一般社団法人那覇市身体障害者福祉協会。同協会の高良幸勇会長(故人)は翁長雄志知事の市長時代の後援会長を務めていた人物で、この裁判が始まるとすぐに職を辞任した。

 原告は、同協会が申請した事業費は年間819万円だったにもかかわらず実際には約4154万円が支払われていたと指摘。差額の返還を求めた。また、市公共施設を無償で貸す場合に必要な免除措置の手続きを怠った件について、原告は、使用料を那覇市に支払うよう求めた。

 那覇市議会では2009年からこの問題が指摘され、久高友弘議員(自民)らが追及を続けていた。ところが、市は一向に改善をせず、担当部局長が謝罪する一幕もあった。

 さらに、中核都市に義務付けられた外部会計監査では、事務所を無償使用させることは「不適切」と指摘されていた。

 判決には「軽微な手続き的違法」と明記されたが、那覇市の裁量を超えていないため違法ではないと判断。約3000万円の差額分の返還は不必要とされた。

 原告代理人の照屋一人弁護士は、「行政訴訟は行政の幅、裁量がある程度、認められるため、市民にとって理解しにくい結果となった」と残念がった。

 那覇市在住の女性は、「限られた市の予算を大切に使うのはあるべき姿。結果は却下となったが、市は襟を正して二度と同じような過ちを犯さないでほしい」と訴えた。(T)