USJ沖縄進出断念の余波
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
世界的に有名な映画のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の沖縄進出断念が11日に正式に決まった。
USJのジャン・ルイ・ボニエ最高経営責任者(CEO)が菅官房長官に計画断念を伝えた後、沖縄入りして県幹部らにも報告した。
政府は「沖縄振興に全力で取り組む」と約束。安慶田光男副知事は「非常に残念」と無念さをにじませた。
USJは昨年7月、沖縄進出に意欲を示した。世界的にも有名な美(ちゅ)ら海水族館がある本部町の国営海洋博公園内の建設が有力視されていたが、親会社がコムキャストに移行したことで、風向きは変わった。政府は1億円超の調査費を計上していた。
観光業など経済界の関係者は「経営が変わった時点で予想はついていたこと」とおおむね冷静な反応を示している。
県内の保守系政治家は「投資家は政治が不安定な地域には投資はしない」と指摘。「辺野古問題ばかりが喧伝(けんでん)され日本政府と対立する沖縄県の現状に対し、内外の直接投資が冷え込んでしまっている」と分析した。
沖縄美ら島財団(旧・海洋博覧会記念公園管理財団)に天下りした幹部らが、沖縄進出断念のために県議会に陳情したり、USJに手紙を送ったという事実も浮上している。
さらには、防衛局の職員が宿泊する沖縄本島北部のリゾートホテル前では、反基地活動家が押し掛ける姿が何度も目撃されている。県や観光コンベンションビューローがこうした事態を看過していることもマイナスに作用したとの指摘もある。
県としては他人任せではなく、独自で観光起爆剤を開発することが大事だ。(T)