国連発言で知事が窮地に
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
翁長雄志知事が国連人権理事会で発言して以来、初の県議会定例会では知事の国連での言動を問いただす質問が相次いだ。
照屋守之議員は、知事は①「自己決定権」を悪用している②基地問題を政治問題から人権問題にすり替えている③沖縄県民を先住民と誤解される発言をした――ことを指摘した上で、「世界に醜態をさらした責任を県民や国民に詫(わ)びるべきだ」と詰め寄った。
さらに、翁長政俊議員は、沖縄県民は先住民か否か、はっきりすべきだと問いただしたところ、知事は「『先住民』という言葉を使ったことはない」と言いながらも明確な回答を避けた上で、「私の支持者にはいろんな考えの人がいます」と付け加えた。
また、普天間飛行場の名護市辺野古沖移設を話し合う集中協議について、照屋議員は「反対をアピールするためのセレモニーでしかない」と言い切った上で、翁長知事が両政府の合意を白紙に戻すよう求めなかったのは「弱さ、交渉力のなさ」だと指摘した。
与那国島の甚大な台風被害についての県政の対応の悪さにも批判が及んだ。浦崎唯昭(うらさきいしょう)副知事が与那国視察で欠席したため、代表質問の1日目の開始時間が1時間遅れたことについて、与野党を超えて議員らは不満を口にした。石垣市選出の砂川利勝議員は、「なぜ事前に決められなかったのか。危機管理能力がない」と批判。「(県の調査ではなく)新聞の報道で指摘されて動いた」(砂川氏)とする県の対応に危機感を募らせた。また、尖閣諸島の領海侵犯について翁長知事は「日中両国は冷静かつ平和的外交で解決すべき」と当事者意識が欠如していることを露呈した。(T)