豚肉で健康長寿復活を


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県は例年より早く梅雨が明け、暑い夏がやってきた。うだるような暑さで食欲が減退し、野菜サラダや冷やし中華、ざるそばがおいしく感じる。

 そんな時でも「肉・卵・チーズを食べよ」と指導するのは沖縄徳洲会 こくらクリニック(那覇市)の渡辺信幸院長。

 渡辺氏は内科医として沖縄の離島に赴任したとき、「離島の人は病気で倒れてから治療しても間に合わない」と痛感。「病気にならない体を作りたい」との思いで開発したのが、肉を主食にひと口30回噛(か)む「かむかむダイエット」という健康法だ。

 野菜中心の粗食が体に良く、肉と脂肪を摂取すれば太るというのは間違いと断言。沖縄県民が半世紀ほど前まで世界一の長寿だった原因は「豚肉をよく食べていたから」だという。

 沖縄県民は肥満など生活習慣病が増え長寿県から転落したのは、食が欧米化したり、歩かなくなったからではなく、糖質を取り過ぎたからと渡辺氏は指摘する。沖縄県民の豚肉および牛肉の摂取量は全国でも最下位レベルに落ち込んでいる。

 厚生労働省は今年「食事摂取基準」を改定、コレステロールの摂取と動脈硬化の因果関係が認められないことから、高コレステロール食品の基準を削除。渡辺氏は「ようやく真実が明らかになった」と評価した。

 理想的な食生活として、渡辺氏は「ひと口30回噛むこと、豚肉を主に肉・卵・チーズを摂取し、肥満の原因となる糖質を多く含む炭水化物を控えること」と結論付けている。

 豚肉はスタミナ食として伝統的に沖縄で愛され、「鳴き声以外全部食べる」と言われている。豚を食べ尽くした先人たちの知恵を継承することが長寿県沖縄復活のカギになるか。(T)