仲井真前知事、毅然とした姿で退庁
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
8年間、沖縄県知事を務めた仲井真弘多(ひろかず)氏が9日、離任した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設に伴う埋め立て承認で批判され続けたが、最後まで信念が揺らぐことはなかった。どんなに批判されようと堂々と正面玄関から退庁した姿は自信の表れにも見えた。
退任会見では、「次の知事への注文は控えたい」としながらも、「ノーと言うだけでは事は進まない。(新知事は)具体的な解決をやられたほうがいいのではないか」とチクリ。「普天間問題は現実に『解』を求めて実行する時期に入っているので、その方向で事が進んでいくことを心から祈念する」と述べた。
また、激しい反対運動について、「意見の違いは世の中にたくさんある。そのたびに大騒ぎしたり占拠することはあってはならない」と苦言を呈した。
知事が辺野古埋め立て工法の申請3件のうち、2件を5日に承認したことで、5日から9日まで反対派が県庁前でデモを行った。さらに、県庁前の広場には無許可のテントが設置され、道行く人々にアピールしていた。
反対派らが県庁の1階の一角を占拠していたため、同日午後3時から予定されていた離任式は急遽(きゅうきょ)キャンセルになった。その代わり、午前中に6階の知事応接室で部局長らに離任のあいさつをする形式で終わった。
すべての仕事を終えた仲井真氏は午前11時すぎに県庁1階に下りると、反基地活動家らが「裏切りを許さないぞ」などと叫び、県民として恥ずかしくなるような非常識な行動をとった。県職員と警備員、警察官がスクラムを組んで活動家による騒動を防ぐと、仲井真氏は毅然(きぜん)とした態度で職員のつくる“花道”を通り、県庁を後にした。(T)