沖縄県と靖国神社
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
沖縄戦では沖縄県出身者12万人余を含め、日米両軍および民間人約20万人が犠牲になったとみられている。沖縄県には戦没者の御霊を祀(まつ)る沖縄県護国神社がある。このためか、東京にある戦没者を祀る靖国神社に対する関心はそれほど高くない。
こうした中、沖縄県と靖国神社について考える集会が13日、普天満宮(宜野湾市)で約30人を集めて開催された。8月中旬に沖縄から靖国神社を参拝する参拝団結成集会を兼ねたもので、参拝団の若者を代表して30代の若者2人が登壇した。
「靖国神社は毎年、若者の参加者が増えていることに気付いた」という沖縄市在住の森田草士さんは、東京の桜開花を知らせる標準木、秋には黄色い落ち葉のじゅうたんで敷き詰められる参道がある靖国神社は、「7月開催のみたま祭りや終戦記念日、春秋の例大祭だけでなく、いつ訪れても美しく素晴らしい神社だ」と感想を述べた。
続いて登壇した那覇市在住の安里巧さんは「実はまだ靖国神社に行ったことがない」と会場の笑いを誘った上で、「沖縄で靖国神社の話題として聞くのは、閣僚の参拝の是非と合祀(ごうし)取消訴訟ぐらいしかない」と靖国神社との関わりについて語った。
沖縄靖国合祀取消訴訟とは、沖縄戦で亡くなった肉親を無断で靖国神社に合祀され、追悼の自由などの人格権を侵害されて精神的苦痛を受けたとして、県内の遺族五人が靖国神社と国を相手取って霊璽簿等から当該戦没者の氏名抹消を求めた裁判。平成22年12月、原告が敗訴した。
安里さんは、一般の旅行ツアーに靖国神社を組み入れ「国民の靖国参拝が当たり前のことになれば、他国からの干渉もなくなるのではないか」と述べた。(T)