沖縄の成人式、直前の中止で悲喜こもごも


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルス感染が年末年始にかけて急激に拡大し、さまざまなイベントが中止や延期になるなど多方面で影響が出ているが、一番気の毒なのは新成人ではないか。

成人式

 石垣島などの離島は年末年始に新成人が帰省するのに合わせて式典を実施したが、ほとんどの自治体は9日に式典を予定しており、開催、延期、中止と対応が分かれた。名護市はオンラインで実施した。ただ、最終決定したのはわずか数日前のことだった。

 宜野湾市は延期で開催時期が未定となった。知人にも新成人を迎える子供がいるが、かなりの出費となった振袖レンタルと着付けがどうなるか、やきもきしている様子だった。那覇市の振袖ショップではキャンセルの連絡が相次ぎ、返金対応に追われていた。

 ただ、一生に一度の晴れ舞台だからと、式典はなくとも振袖に袖を通したいという新成人も多いという。式典が中止となった与那原町では、当初予定されていた式典会場で記念撮影ができるよう配慮した。また、2019年10月に正殿が焼け落ちてしまった首里城(那覇市)に記念撮影に行った新成人も多かった。

 一方、成人式がなくなって一番、安堵(あんど)しているのは警察だろう。沖縄の成人式といえば、派手な袴(はかま)を着た新成人が繁華街に繰り出して暴れる姿がメディアで全国的に報じられている。警察の制止を振り切りながら改造自動車から身を乗り出し、轟音(ごうおん)をまき散らして、周辺の交通や地域の住民に迷惑を掛けている。

 那覇市の城間幹子市長は、「気が緩みがちなアルコールを伴う飲食は極めて感染リスクが高い」「現状を直視し、新成人の自覚と自制を持った行動を取っていただきたい」と呼び掛けた。

(T)