OISTらが研究、ワクチン効果解析で謎の解明へ


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルスのワクチンの集団接種は全国的に人が集まらない問題が発生している。かたくなに接種を拒む人は世界中で一定数いる。その要因の一つと考えられているのは、ワクチンの効果や副反応への懸念だ。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)と那覇市医師会は合同で新型コロナウイルスのワクチン接種で獲得される免疫反応や細胞メカニズムを調査する共同研究を行うと発表した。

 沖縄在住の100人を対象に治験を実施。ワクチン接種前後の免疫反応や副反応を1年間かけて経時的に測定する。

 現在主流のワクチンは高い感染予防効果が期待されることが明らかな一方、約1割の人には効かないとされる。個人差が生じる要因は何か、接種後どれぐらいの期間、効果を維持できるのかは解明されていない。OISTの免疫シグナルユニット代表の石川裕規准教授は「ワクチンに関する基礎研究は十分でなく、ワクチン接種によって新型コロナウイルスおよびその変異株に対する長期的な感染予防効果が獲得されるのか、またワクチンの有効性と副反応の個人差がどの程度生じるのかについてはほとんど分かっていない」と話した。

 石川氏は「今回の研究は将来の新興感染症によるパンデミックに備えるという意味でも重要になる」と指摘。那覇市医師会理事で那覇西クリニックの玉城研太朗診療部長は、「個々に応じたワクチン開発が期待されれば個別化医療につながる。世界全体に明るい未来をもたらしてくれる、極めて重要な研究となる」と期待を込めた。

 那覇市医師会の臨床とOISTの研究を合わせた科学の力でコロナウイルスに打ち勝つことができるのか。研究成果に期待したい。(T)