値札の「総額表示」への変更で客の誤解が解ける


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 「4月になって何でも値上げになって、困っているさ」。那覇市のスーパーのレジで並んでいると、ある高齢者の女性がこうつぶやいた。

 値札やチラシなどの価格表示を消費税の税込みとする「総額表示」が4月1日から義務化された。店頭で商品の消費税を抜いた価格だけの表示を認める特例措置が終了したためだ。このことを説明すると、納得した様子だった。

 本体価格が100円の場合、「100円+税」や「100円(税抜き)」といった表示は認められない。これまで、税の部分を意図的に小さく表示する店は多く、視力の悪い消費者が勘違いするケースは多かった。

 4月からは、本体価格100円のものは、「110円」「110円(税込み)」と表記される。「逆に分かりやすくなって良かったんだね」と前出の女性は喜んだ。ただ、総額表示となるまでずいぶん時間がかかった印象がある。

 レストランで食事をした後、会計時に税抜き表記だったと気づき、慌てた経験もある人は多いはずだ。

 外食と並んで、これまで表示が分かりにくかったのはガソリンスタンドではないか。ガソリン価格の消費税については、消費税が5%から8%に上がった2014年、経済産業省資源エネルギー庁がガソリンスタンドの事業者に対し、ガソリン店頭価格を消費税込みの「総額表示」にするよう要請した。

 それでも沖縄ではほとんどのスタンド店内では税別表示だった。あるガソリンスタンド店員は、「消費税込みだと、小数点以下の計算で価格に誤差が生じてしまうため、店内では税抜き価格にしている」と説明。安価に見せるための印象操作のためではないことを強調した。

(T)