社会の公器、沖縄タイムス社が不正受給の温床に


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルスによる経済的打撃を受けた事業者を対象とした支援策である持続化給付金で、地元2紙の一つ、沖縄タイムス社(武富和彦社長)の社員による大規模な不正が発覚した。不正を行ったのは45歳の総務局付の牧志秀樹容疑者。11月13日、沖縄県警が詐欺容疑で逮捕した。

 疑惑が発覚したのは、9月10日。タイムスとそのライバル紙の琉球新報が「コロナ給付金不正」として紙面で大きく扱った。

 これを受け、沖縄タイムス社は12日、記者会見を開き、社員が「持続化給付金100万円を不正受給した」ことに加え、「新型コロナ対策の緊急小口資金と総合支援資金を虚偽申請して計80万円を不正に借り入れていた」ことを明らかにした。

 しかも、自らの不正受給だけでなく、社内外の15人程度にも申請の勧誘をしていたことが明らかになっている。県警は、合計で40人程度を不正行為に巻き込んだ可能性があるとして捜査を進めている。

 牧志容疑者は昨年10月からスポーツギャンブルの予想ソフトの代表を務めていたことも分かっている。ここの会員に不正受給の話を持ち掛け、金融商品の商売をしていたとされる。反社組織とのつながりも指摘されている。

 「社会の公器として人々の知る権利に応え、社会が公正・公平であるように大きな責任を担う新聞社」(沖縄タイムス)が不正の温床となっていた事件は県内外に衝撃を与えた。

 タイムス社は牧志容疑者を懲戒解雇、不正申請した30代男性社員を懲戒処分。また、「報道機関の信用を大きく損なう不正な行為に至ったことの経営責任」を取り、全取締役の報酬カットを発表した。これに対し、役員は辞任してけじめをつけるべきだという意見も根強い。

(T)