観光客の激減で行き場のない土産品を救済!?


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルス感染拡大のため、沖縄県で最も大きな影響を受けた業種の一つは、観光関連業だ。中でも、土産品店への打撃は甚大だ。4月7日、東京など7都府県に緊急事態宣言が発出されると、沖縄を訪れる人は激減し、那覇市国際通りとその周辺の観光土産品店は次々と休業を余儀なくされている。

 宮古島や石垣島ではさらに深刻だ。人口が少ないため、土産品の在庫は地元の住民だけでは消化できず、行き場を失っているという。ある店主は電話取材に「(島外に輸送したくても)紅いもタルトなど賞味期限が短い商品は輸送することもできない上、地元の人々には馴染(なじ)みが薄く、値下げしてもなかなか買ってもらえない」と明かした。

 沖縄の菓子類は、地元で供え物や茶請けとして愛用される。4月の清明祭(シーミー)には家族・親族が墓前に集まるが、そこで欠かせないものの一つだ。ところが、今年はコロナ感染予防のため、墓参りも家族の代表だけで行うなど、菓子を囲んで人々が集まることはなかった。

 国際通りとその周辺の土産品店がほとんど閉店する一方で、ドラッグストアやスーパーは土産品を多く扱っているが、箱菓子が山積みになったままだ。

 販路を断たれた土産品を救済しようと、県の観光おみやげ団体は5月に入り、スーパーで県産品キャンペーンを行っている。賞味期限が迫っている菓子類やレトルト商品などを半額やそれ以下の特別価格で販売するのだ。

 筆者も今は3時のおやつに極力、県産の菓子を食べるようにしている。普段は少し高価に感じ、手を出しにくい商品も、この機会に利用することで、その良さを認識することができる。土産品業界の苦肉の策が、県産品の内需拡大の好機となるのを期待したい。

(T)