観光客減による苦境を地元再発見への好機に


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内外問わず、沖縄県を訪れる観光客が激減し、観光業界は苦境に立たされている。

 県内のホテルや旅行代理店は、観光客を呼び戻すことはもちろん、県民の需要を喚起するため、通常の半額以下のお得な宿泊プランを提供している。

 人気リゾートホテルを格安で利用できるのであれば、利用しない手はない。そこで、沖縄美ら海水族館がある人気観光地、沖縄本島北部の本部町のリゾートホテルを利用してみた。

 道路も空いているだろうと思い、沖縄自動車道を使わずに国道58号を北上。予想通り渋滞もなくスムーズに走行できた。美(ちゅ)ら海水族館が3月2日から15日まで閉館していたことも影響していたに違いない。

 さて、宿泊したホテルは通常、修学旅行などの団体客が多いが、軒並みキャンセルとなった影響で、稼働率は2~3割程度だ。県内のほとんどのホテルはこの水準だという。

 部屋の目の前にはエメラルドブルーの海が広がり、遠くには伊江島や瀬底島を眺めることができた。大浴場や地元の食材をふんだんに使った朝食を楽しめ、贅沢(ぜいたく)なひとときを味わうことができた。

 こういう時こそ、本来の沖縄の魅力である自然を楽しむことができる。本部町には、古くからのフクギ並木の地域がある。普段よりひと気の少ない集落を散策しながら、のんびり浜辺で沈む夕日を眺める。

 春休み期間も引き続き、大手旅行代理店や各ホテルが沖縄県民向けの宿泊や飲食の割引企画に力を入れるという。観光経済を支えることにつながるだけでなく、地元の良さを再発見するいい機会になるのではないか。

(T)