新型コロナウイルス騒動でも冷静な沖縄県民


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、マスクと消毒液が手に入らないのは全国共通だ。ただ、沖縄ではそれ以外の物が在庫切れになるケースはこれまで、ほとんどない。

 東京など本土の知り合いからは、トイレットペーパーが買えないという悲痛な叫びが聞こえてきている。ティッシュペーパーやキッチンペーパー、さらには、女性用の生理用品、米、納豆までも品薄だと聞く。

 県内の知人にこうした商品を買い占めたか尋ねると、「何の話をしているのか」「まさか、なくなるはずがない」という答えが返ってきた。「なんくるないさ」という言葉で知られているように、「何とかなる」と考えるおおらかな県民性からだろうか。

 東京との地理的な距離が、買い占めのパニックに対する温度差を生じさせると考えることもできる。また、新聞とテレビ以外は見ない年配層が多いことも影響しているのかもしれない。

 それでも、安倍首相が全国のすべての小中高に対して春休みに入る期間まで休校とするよう要請を出した2月28日の週末には、スーパーやディスカウントストアに客が殺到し、レトルトや冷凍食品が品薄になる現象は起きた。これは、平日の昼間、子供たちの昼ご飯を調達するためであり、パニックを伴う購買行動ではない。

 ただ、県内では、沖縄で「アーサー」という名で親しまれている海藻のアオサが一時的に売り切れる現象はあった。アオサにコロナウイルス増殖抑制効果という研究成果が中部大学で発表されたという記事が沖縄2紙で掲載されたことが大きな理由だ。中部大学は後になって「アオサがヒトコロナウイルスを抑制」というリリースをホームページから削除した。

(T)