天然記念物のネズミを守ろう
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
2020年は子年。沖縄には珍しいネズミがいろいろ生息している。
国指定天然記念物で絶滅危惧種に指定されているケナガネズミは、沖縄本島北部と奄美大島、徳之島だけに生息する。日本で最も大きなネズミで、体長は約30㌢で、体重約500㌘ほど。尾が約30㌢と長いのが特徴で、先端から3分の1ほどは白くなっている。夜行性で樹の上で活動していることもあり、これまでほとんど調査や研究がされてこなかった。
2014年以来、沖縄市の動物園「沖縄こどもの国」で飼育されている。ケナガネズミを飼育する動物園は全国で唯一だ。ただ、現在公開されていない。夜行性で警戒心が強いため、できるだけストレスを与えないようにするためだ。
また、沖縄独自のネズミには本島北部のやんばる固有種で国の天然記念物のオキナワトゲネズミもいる。こちらは、一般的なネズミと見た目や大きさが近い。琉球大学理学部動物生態学研究室や国立環境研究所などの研究チームによる調査では、主にネコに捕食されていることがネコの糞を分析する中で判明した。数が激減し絶滅が危惧された。ただ、2008年の研究調査ではかろうじて生息が確認されている。
本島北部にはもともと、ネコを含む肉食動物はいなかったが、人が捨てたネコが野生化して住みついたとされる。
ネズミは古来、その繁殖力から繁栄の象徴とされ、七福神の中で食物や財福をつかさどる大黒天の使いとも言われている。ところが捨て猫が生態系を崩してしまっている。研究チームは、飼い猫を捨てないことはもちろん、「やんばるの森からネコの捕獲を徹底すること」と、ネコを室内で飼育させることを徹底させるよう呼び掛けている。
(T)