「立憲民主」「ゼロ・コロナ」状態の五輪延期論
野党合同で現地調査、大会中の感染増加を政権追及材料に
立憲民主党の月刊の機関紙「立憲民主」7月16日号は、1面の「総選挙に向けて『信頼できる政府を取り戻す』」との福山哲郎幹事長インタビューはじめ、中村喜四郎衆院議員の選挙指南、江田憲司党経済政策調査会長、原口一博国対委員長、泉健太政務調査会長、長妻昭東京都連会長らによる衆院選挙を意識した内容だった。枝野幸男代表については内閣不信任決議案演説全文を号外で発行した。
選挙の中心争点は間違いなく新型コロナウイルスだろう。同紙は、「コロナ禍で見えた危機管理が機能しなかった原因は、情報を国民に出さないこと、司令塔が明確でないこと、専門家の意見を恣意的に扱ったこと」「感染拡大防止よりもオリンピック・パラリンピック優先、…到底、国民が納得できるものではない」(福山氏)などと、舌鋒(ぜっぽう)鋭く政権批判をしている。
原口氏は、立民、共産、国民民主、社民の野党4党で立ち上げた東京オリンピック総点検野党合同チームについて、「オリンピックによる感染拡大・感染爆発を防ぐ、医療のひっ迫を防ぐため、現地調査をおこないながら、強行する政府に対し具体的な提案・提言をしていく」と述べる。
つまり、大会中の感染増加を即、追及材料とするだろう。実際、共闘する共産党は機関紙「しんぶん赤旗」で連日感染者数を1面に入れ、22日付は「陽性者急増/感染最悪 医療危機に/これで五輪強行か」の見出しで批判。また、「『赤旗』は『五輪中止を』の立場を堅持、報道にあたります」との記事で競技報道は最小限にするとした。先行競技だったソフトボール日本対オーストラリア戦など、同日付は載っていないぐらいに小さく扱った。
「立憲民主」だが、泉氏は「私たちは『withコロナ』ではなく『zeroコロナ』を求めます」と、同党の「zero(ゼロ)コロナ戦略」を訴えた。東京都議会議員選挙での公認・推薦17人当選を報告する長妻氏も、「今、優先すべきことは、五輪ではない。」(見出し)と主張する。
同党のゼロ・コロナ戦略改定版は、東京大会の開催は「ゼロ・コロナ状態」を条件にする。その状態とは「東京では週平均で1日あたり50人未満」だ。ワクチン接種が進む英国は感染数より入院・死亡の抑制を重視して、「コロナとの共生」を選択し、サッカーやテニスの国際大会も有観客で開催した。「ゼロ」状態になるまでの五輪延期は現実的だったのだろうか。
編集委員 窪田 伸雄